今年の新入社員は「スマート家電」型?

    新年度がスタートして1か月半。 そろそろ新入社員も新しい環境に慣れてきた頃だろう。 そして、上司や先輩社員もどんなタイプなのか見極めたり、どう育てていくのかを考え始めている頃かもしれない。   1992年生まれが大多数を占める2015年入社の新人たちだが、人生の節目ごとに直面してきた事象から「92年生まれの悲劇」とも呼ばれている。   バブル崩壊が進む1992年に誕生し、小学校4年生でゆとり教育がスタート。 高校入学直後にはリーマンショックが発生し、その影響から高校卒業時(2011年)の求人倍率は過去最低を記録した。 東日本大震災の発生により、入学式が中止となった大学も。 晴れの舞台である高校の入学式を爆弾低気圧が襲い、成人式では大雪になるなど天気に恵まれなかったという声もある。 激しい社会の荒波をすでに経験している今年の新入社員だが、コミュニケーションツールの変化も節目ごとに経験している世代だ。       ▼誕生(1992年):ポケベル普及、翌年からダイヤルアップ接続開始。この年、初めて共働き世帯が専業主婦世帯を上回る ▼小学校入学(1999年):iモードが流行 ▼中学校入学(2005年):個人情報保護法施行により、学校の連絡網が廃止。個人ブログやSNSが流行※当時、1319歳のインターネット普及率は93.9%に到達 ▼高校入学(2008年):iPhone販売開始、Twitterが日本でのサービス提供開始 ▼大学入学(2011年):LINEがサービス提供開始、       エン・ジャパン株式会社は、2015年度の新入社員388名を対象に、企業が求める特性や能力を持つ人材を短時間で簡単に見極められる適性テスト『3E-IP』を実施し、その結果を元に、今年の新人傾向や昨年からの変化、育成のポイントをまとめたところ、今年の新入社員は“データや合理性重視のエコなデジタルネイティブ世代”で、「スマート家電型」であることがわかった。   「スマート家電型」の特徴は、さまざまな社会環境の変化を経験しているので、変化への耐性や適応力が高い。 デジタルネイティブ世代でもあり、得られる情報量が多く、直感よりも多角的なデータ・情報をもとに判断することが多い。 室内環境や使用電力量などを分析して「家事・家計のムダを削減するスマート家電」のようなタイプといえる。   また、物事を考える際は、自発的にアイデアを生み出すのではなく、事実やデータをもとに論理にかなっているか意識する傾向がある。 ゼロからイチを主体的に生み出すことは不得意で、大きな変化は好まない。 弊害として「やらない言い訳」を考え出すことが上手だったり、仕事の理由や背景をきちんと説明しないと理解が出来なかったりということが挙げられる。   周囲からの見られ方や評価を気にする傾向から、自分をどう相手に見せるかという能力に長けている。 ネットやSNSのコミュニケーションにも慣れているので、文章だけで相手の感情や真意を読み取ることも得意。 LINEにおけるスタンプのように微妙な感情を即座に表現するコミュニケーションの特性上、自分の意志をはっきりと伝える機会も多い。   働く際は「この仕事が社会の何に役立っているのか」を重視するが、今までにない新しいものを作り出すような起業家精神は弱い。 私生活を大事にする姿勢は崩さないながらも、困難な課題に取り組む意欲は高いので、明確に方針を提示して実直に取り組む姿勢に期待したい。   では、昨年度と比べて、新入社員の傾向に変化はあるのか? 今回の調査で、今年の新入社員は主体性、意志伝達力が上昇していることがわかった。   昨年はみずから積極的に物事を進める「主体性」や自分の意志を明確に伝える「意志伝達力」の低下が見られたが、今年の新人では再び上昇。 自分らしさを増進する教育や、自己表現するためのツールも増え、自分の言葉で伝える力が高まっていると考えられる。       相手の気持ちを推し量り、周囲と協調して仕事を進めて行く能力は、主体性の上昇に伴って総じて低下が見られた。 SNSの普及により、気心が知れた昔からの人間関係を大人になっても継続できるため、新たな人間関係構築に苦手意識がある可能性が考えられる。 ただし、状況に応じて感じの良さを表現する「タレントマインド」や周囲からの見られ方を気にする「評価・評判へのストレス耐性」に関する数値に変化はないため、「嫌われたくない」という意識は依然として存在。 高校生の頃からTwitterが一般的なツールで、何かミスを起こすと一瞬で拡散して永遠にネット上から消せないという怖さを実感。 慎重に空気を読む傾向にある。       分からないことをすぐに調べることができ、即レスを求め・求められる文化にいたため、迷いなく判断をする思い切りの良さを示す「決断性」が上昇。 危惧される現象としては、自身の将来にとってプラスにならないと感じることはすぐに辞めたり、いつ役に立つのか見えづらいものへの対応は遅くなったりするような行動に反映される可能性がある。       また、今回の調査結果を受けて、エン・ジャパン株式会社は、2015年度の新入社員の育成のポイントについて、以下の3つを挙げている。     1 )指導は具体的に背景も含めて説明を   指導や指摘をする際は、具体的な経験談や事例を提示しないと響かない可能性が大。 ネットに落ちている情報とリアルなビジネスは違う、と実感させるためにも、今学んでいることは「どういう場面」で「なぜ必要なのか」をきちんと具体的に伝えることが重要と言える。 小学校4年生の時にインターネットの普及率が人口の半分を超え、欲しい情報は即座に獲得できることが当たり前の2015年入社組。 新人研修で指導されるビジネスマナーや職場で求められる行動は、既に知っているという態度も散見された。     2 )仕事の意義を丁寧に伝える   この仕事が「誰に対して」「どう役に立っているのか」を具体的に伝えたり考えさせたりして、自己効力感(※)を高めるサポートが必要。 日本的な文化であった「背中で見せる」「阿吽の呼吸」ではなく、曖昧なニュアンスもLINEのスタンプ同様にきちんと明示する必要がある。 キャリアの指向は「社会奉仕」の数値がもっとも高く、具体的で目に見える社会貢献の実感を仕事に求める傾向がある。 だが、仕事を始めたばかりの頃は、誰かに感謝される経験は積みづらいもの。 仕事の意義も見出しにくい。そこで先輩や上司からのサポートが必要なのだ。 東日本大震災がきっかけとなって「社会貢献」の重要性が見直され、多くの大学生がボランティア活動を行ったものの、貢献の実感が直接的に得られにくい「献血」を行なう若者は減少している。   (※)自己効力感 スタンフォード大学教授の心理学者アルバート・バンデューラ氏が提唱した概念。 外界の事柄に対し、自分が何らかの働きかけをすることが可能であるという感覚で、「自分ならできる」といったセルフイメージにつながるもの。     3 )賞賛は即レスで   新人が起こした行動に対して、その場で褒め、その場で問題解決することが信頼構築には必要。 大学入学と共にLINEが一気に普及した今年の新人。 コミュニケーションは「即レス」が基本となるため、職場でも即レスを求めることがある。 ただし、指摘をする際は注意を。 「自由な発想」「個性を大切に」と掲げるゆとり教育を受けて、理不尽な指導は受けずにきた2015年入社組。ガツンと言われると、すぐにポキッと折れてしまう可能性がある。 出来ない自分を見せたくないあまりに高すぎる目標設定を避け、何か指摘をされる前にリスクヘッジすることも。         @DIMEより

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この記事を書いた人

株式会社トリムはガラスをリサイクルする特許技術でガラスから人工軽石スーパーソルを製造しています。
世の中のリサイクルやエコに関する最新情報をお届けして参ります。

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