液状化対策、地中に丸太

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飛島建設とミサワホームが、丸太を地面に埋め込む新工法で住宅地の液状化対策を実現した。

 

騒音が少なく残土も出ないうえ、環境にも優しいのが特徴だ。

 

首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生が懸念されるなか、安心・安全と環境が宅地開発のキーワードになりそうだ。

 

 

 

東京湾に面した千葉市美浜区。

JR検見川浜駅から歩いて10分ほどの場所に、ミサワホームの97区画の大型分譲住宅地「アルビオコート検見川浜」が広がる。

建物は21戸が完成し、初回売り出し分の契約は好調だ。

 

埋め立て地のため、砂が多く地盤が緩い。

そこで全区画で液状化対策をした。

 

「防災のトビシマ」とよ呼ばれ、防災土木技術に強い飛島建設などが開発した「丸太打設工法」を、大規模宅地に初めて採用した。

 

直径15センチメートル、長さ約4メートルで先端が鉛筆のようにとがった丸太を1メートル間隔で地中に埋め込む。

1宅地あたり平均136本で、分譲地全体では約1万3,400本に上る。

丸太により砂地同士の密度を高め、地震時の地盤の液状化を抑える。

今回の丸太は地元、千葉県産を中心に使った。

 

従来の液状化対策で一般的だった「サンドコンパクションパイル工法」は、地中で砂を締め固めて砂杭(ぐい)を造成する。

工事には大型振動装置が必要で、揺れや騒音が大きい。

残土も大量に生じる。

住宅地には適さない方法だ。

 

新工法は掘削した穴に、機械の圧力で丸太をじわりと埋め込むので騒音や振動が少ない。

杭が細く残土も出ないことから、高騰する残土処理費が削減できる。

 

工事に使う装置は小型で小回りがきくため、宅地造成と並行して地盤改良をしやすい。

ミサワホームの分譲開発事業部の1級土木施工管理技士、飯田達夫氏は「工期の短縮効果が高い」と語る。

 

新工法は地下水位が浅い土地にむいている。

丸太を地下水位より深いところに埋め、酸素が乏しい土中で地下水に浸るような形にする。

この環境では腐朽菌が繁殖しないため「長期にわたって腐朽が抑えられる」(飯田氏)という。

地表近くの丸太上部は、粘り気のある土と砕石で蓋をして守る。

 

工事費は都市部の密集住宅地などでは従来工法より割安な場合が多いという。

家がほとんどないような郊外では従来手法の方が割安になる。

騒音や振動を気にする必要がなくスペースも広いため、大型機械を効率良く使えるためだ。

 

丸太の活用は環境負荷の低減だけでなく、林業の活性化につながる。

植林と併せて丸太を使えば、地球温暖化対策につながる。

間伐材をそのまま使えるため、伐採期を迎えた全国の森林の再生にも役立つ。

 

現地見学会には住宅会社や総合建設会社(ゼネコン)、大学関係者などが集まり、関心の高さをうかがわせた。

 

飛島建設の沼田淳紀・技術研究所主席研究員は「木材の活用で防災と環境対策が両立できる点をアピールしたい」と抱負を語っていた。

【大森広樹】

 

 

 

日経産業新聞より

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