バイオガスで聖火点灯めざす

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「みんなで聖火の炎をつくろう!」実行委員会は5月13日、東京都内でキックオフ集会を開き、90人が参加した。

 

全国の子どもたちと生ごみからバイオガスを生成し、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの聖火を点灯しようとするもの。

 

東北大学大学院農学研究科の多田千佳准教授が中心となって活動を展開しており、NPO法人木野環境(京都市、丸谷一耕代表)が実行委員会事務局を務める。

 

 

 

多田准教授はこれまでも、東北大学の復興アクション100+の一環として、生ごみからバイオガスを生成する体験学習を全国各地で行い、子どもたちに環境や食の大切さを伝え、持続可能な社会の構築につなげる活動を行ってきた。

今回、同活動をさらに促進させるため、有志による全国展開を目指してキックオフ集会を開催した。

 

集会では、多田准教授の他、バイオガス事業推進協議会や日立セメント、学校関係者などが講演。

全国の取り組みについての発表もあった。

実行委員会は今後も、この活動を東京オリンピック・パラリンピック組織委員会にアピールしていく。

 

「廃棄物でも工夫すればエネルギーや資源に変わることを体験学習を通して子どもたちに伝え、聖火の炎をすることで、小さなことでも集まれば大きな力となることを伝えたい。また、日本での災害時に助けの手を差し伸べてくれた世界中の人々へ感謝の気持ちを伝えたい」としている。

 

 

 

循環経済新聞より

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廃棄物で発電の電力使用

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国際会議場「パシフィコ横浜」を運営する横浜国際平和会議場(横浜市)は4月から、会議場内で出た廃棄物を使って発電した電力をパシフィコに隣接する緑地公園「臨港パーク」で使い始めた。

 

JEFエンジニアリング傘下のアーバンエナジー(横浜市)などと連携した取り組みで、電力の「地産地消」をアピールする。

 

 

 

パシフィコで出た廃棄物を廃棄物処理施設運営のJFE環境(横浜市)が処理して発電。

電力売買のアーバンエナジーが電力を買い取り、臨港パークに供給する。

 

臨港パークは、横浜国際平和会議場が指定管理者として運営に携わっている。

これまでもパシフィコの廃棄物はJFE環境が引き受けていたが、発電した電力は別の施設に供給していた。

 

発電電力量は年間約30万キロワット時を見込む。

臨港パークの照明などに使用する。

アーバンエナジーは廃棄物処理量に応じ売電料金を割り引くサービスを提供しており、パシフィコ横浜にとっては、コスト削減も見込まれる。

 

 

 

日本経済新聞より

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パナソニックが工業炉排熱を再利用

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パナソニックは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて、従来捨てられていた工業炉の排気熱エネルギーを、高温のまま高効率に再利用する排気熱循環システムを開発した。

 

 

このシステムは、高温排気中に含まれる不要な微粒子に電界を利用して高効率に分離除去し、浄化した排気を再度炉内に戻して利用するものである。

 

 

同システムをリフロー炉に実装し、性能評価などを実施した結果、500時間以上の連続運転で微粒子の集じん率91%、排気熱エネルギー回収効率75%を実現したという。

 

 

 

工業炉などの加熱処理を要する熱プロセス工程で消費するエネルギーはモノづくり全体の大半を占めており、最も早期に省エネルギーの対策を打つべき分野と考えられている。

その中で全工業炉の排気熱損失の70%を200℃未満の排気が占めており、工業炉の省エネに向けて、排気熱エネルギーの再利用技術の開発が必要とされている。

 

パナソニックはNEDOプロジェクトで、排気の流れと微粒子の挙動を把握するために熱流体解析を用いた構造設計を行い、性能を最適化した排気熱循環ユニットの実証システムを具現化した。

従来捨てられていた排気熱エネルギーを電気などに変換利用せずに、熱を高温のまま高効率に再利用する。

汚れた排気を炉外にそのまま排出せずに、排気中に含まれる不要な微粒子に電圧がかかっている空間の状態、いわゆる電界を利用して高効率に分離除去することで、浄化した排気を再度炉内に戻して利用する。

 

実証システムを量産現場のリフロー炉に実装し、500時間以上の連続稼働による性能評価、耐久性・安全性試験を実施。

その結果、微粒子の集じん率91%、排気熱エネルギー回収効率75%を実現した。

リフロー炉内の汚れが低減し、炉内清掃時間などを3分の1程度に削減でき、生産ラインの停止時間も3分の1に短縮することが可能とする。

 

パナソニックは、リフロー炉向け排気熱循環システムを2017年度に社内で実用化を進め、早期に外販を目指す。

今回開発した技術を乾燥炉など、より排気熱損失の大きいプロセスに適用し、さらなる省エネの推進に向けた展開も行っていく予定だ。

 

 

 

スマートジャパンより

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焼却熱で発電、売電

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2020年4月の供用開始を目指し、水戸市下入野町に整備を進めている新清掃工場を巡り、水戸市は3月30日、施設概要や焼却熱で発電して売電することなどを盛り込んだ実施設計案を明らかにした。

 

また、周辺に整備する地元への還元施設については、温浴施設や健康増進施設などを中心に、今春にも基本計画をまとめる方針を示した。

 

同日開かれた新ごみ処理施設整備調査特別委で市が報告した。

 

 

 

実施設計案によると、新清掃工場は主に焼却施設のほか、不燃ごみのリサイクルセンター、管理啓発棟で構成。

各施設は2階部分の通路で連結する。

処理能力は焼却施設が1日当たり330トン、リサイクルセンターは同55トン。

このほか計量施設や洗車場なども整備する。

 

焼却施設では蒸気タービンを設置し、焼却熱による発電を行うとともに、余剰電力は売電する。

また、震度5強相当の揺れを感知した場合には、焼却炉を自動停止するほか、焼却前にごみを貯留するピットには赤外線の火災検知機も備え、防災対策を強化する。

 

このほか、周辺には地域の生活環境向上施設を整備する予定。

市はこれまでに地元住民を対象としたアンケートを実施。

特に要望の多かった温浴施設やプール、遊歩道などの意見を踏まえ、今春にも具体的な基本計画を策定する方針。

さらに、新清掃工場の隣接地に整備を予定する第3最終処分場は、7月をめどに実施設計をまとめる見通し。

【前島智仁】

 

 

 

茨城新聞より

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JFEがリサイクル発電サービス

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プラント建設大手のJFEエンジニアリングの子会社で、新電力のアーバンエナジーが廃棄物を活用した新しい電力供給サービスを開始した。

 

横浜市にある「横浜国際平和会議場」(通称:パシフィコ横浜)の施設から回収した廃棄物を利用して発電を行い、その電力を割引価格で回収元の施設に供給する。

 

電力需要家側の資源リサイクルと、電気料金の削減に同時に寄与する新電力サービスだ。

 

 

 

アーバンエナジーが電力供給を行うのは、パシフィコ横浜が管理する「臨港パーク」という海岸沿いの緑化エリアだ。

パシフィコ横浜は臨港パークで消費する全電力は、アーバンエナジーから購入する。

契約容量は65kW(キロワット)で、2017年4月2日から一般家庭約100世帯分に相当する年間30万kWh(キロワット時)を供給する計画だ。

 

供給する30万kWhのうち、約12%はパシフィコ横浜の各施設から回収した廃棄物を利用して発電した電力になる。

廃棄物の回収はJFEエンジニアリングの100%子会社であるJFE環境が担当しており、同社が運営する産業廃棄物処理施設で焼却・発電する。

この電力をアーバンエナジーが買い取り、臨港パークに供給するという事業スキームだ。

 

国際会議の開催などで国内トップの実績を持つパシフィコ横浜は、環境負荷の低減に向けた取り組みを進めており、施設内で集めた全てのごみの計量や記録を徹底し、廃棄物の完全把握と100%リサイクルを目指している。

アーバンエナジーはパシフィコ横浜から回収した廃棄物で発電した電力を、通常の電気料金より数%安い価格で臨港パークに供給する。

リサイクルと電力コストの削減を両立させる取り組みだ。

 

JFEエンジニアリングはこうした廃棄物の提供を受けた施設に対し、割安な電力を供給するサービスを「創電割(そうでんわり)」として他の需要家にも展開していく方針だ。

電気料金の割引率は、廃棄物の処理量に応じて変動する仕組みとなっている。

 

 

 

JFEエンジニアリングはプラント建設に関するノウハウを強みに、廃棄物を利用した新電力事業の拡大に注力している。

2017年3月7日にはJFE環境、東日本旅客鉄道(JR東日本)および同社100%子会社の東日本環境アクセスと共同で、食品廃棄物を利用した発電事業を開始すると発表した。

 

JR東日本の駅ビルや商業施設から発生する食品廃棄物を発酵させてメタンガスを作り、これを燃料としてバイオガス発電を行う計画だ。

共同出資会社のJバイオフードリサイクルを設立するとともに、新たに横浜市鶴見区に出力1,800kWのバイオガス発電所も建設する。

 

 

 

発電所は2018年中の完成を予定しており、一日当たり約80トンの食品廃棄物を利用してメタンガスを生成し、年間に一般家庭3,000世帯分の使用電力量に相当する1,100万kWhを発電する計画だ。

発電した電力は施設で利用する他、FITを活用してアーバンエナジーに売電する。

このようにプラント建設や発電のノウハウを持つJFEエンジニアリングが廃棄物を排出する異業種との連携を進めることで、アーバンエナジーの電源を拡張できるメリットもある。

 

 

 

JFEエンジニアリンググループの新電力であるアーバンエナジーは2013年12月に設立。

四国や北陸、沖縄を除く全国で高圧向けの電力供給を行っており、2016年度の電力販売実績は53万6,00kWhを見込んでいる。ごみ焼却発電やバイオマス発電、太陽光発電など、JFEエンジニアリングが建設および運営に関わる発電設備を主な電源としており、再生可能エネルギー電源の拡大も進めている。

 

 

 

熊本県水俣市では、市内に水力発電所を保有するJNCと協力し、再生可能エネルギーに特化した電力供給サービスも実証中だ。

JFEエンジニアリングが所有する再生可能エネルギー発電設備とJNCの水力発電所の電力を、アーバンエナジーを通して水俣市の施設に供給する。

CO2排出量や電気料金の削減効果を確認した後、3者共同出資による地域エネルギー会社を設立する方針だ。

この他、静岡県磐田市でも地域エネルギー会社「スマートエナジー磐田」を市と共同設立するなど、官民連携の電力供給サービスの展開も図っている。

 

 

 

スマートジャパンより

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食品廃棄物でバイオガス発電

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東海地区で最大規模のバイオガス発電所が静岡県・牧之原市にある「白井工業団地」で2月21日に運転を開始した。

 

お茶の栽培と漁業が盛んな牧之原市を中心に、県内の食品工場などから排出する廃棄物(食品残さ)をバイオガスの原料に利用する発電プロジェクトだ。

 

「牧之原バイオガス発電所」には食品廃棄物を発酵させる巨大なタンクのほか、発酵に必要な消化液の貯蔵タンク、廃棄物の前処理施設や排水処理設備を備えている。

廃棄物の保管からメタン発酵によるバイオガスの精製、発電までを一貫処理する体制を構築した。

 

 

 

発電能力は650kW(キロワット)である。

1日24時間の稼働によって年間に340万kWh(キロワット時)の電力を供給できる。

一般家庭の使用量(年間3,600kWh)に換算して940世帯分に相当する。

牧之原市の総世帯数(1万6,400世帯)の6%にあたる。

 

発電した電力は固定価格買取制度を通じて売電する。

メタン発酵によるバイオガス発電の買取価格は1kWhあたり39円と高い。

年間の売電収入は1億3,260万円になり、買取期間の20年間の累計では26.5億円にのぼる。

 

一方で建設のための総事業費は20.5億円かかった。

これまで食品廃棄物の処理に必要だったコストとバイオガス発電事業の運営費を比較して採算がとれる想定だ。

1日に処理する食品廃棄物の量は約80トンを予定している。

 

 

 

この発電事業を企画したアーキアエナジーは「新たな食品リサイクル・ループ」のモデルケースとして、牧之原バイオガス発電所の建設を推進した。

グループ会社のゲネシスが食品関連事業者から残さを収集して発電所を運営する。

さらに副産物の飼料・肥料を農家に供給して食品の生産・販売につなげる取り組みだ。

 

プロジェクトを推進するにあたって、建設に必要な資金の調達、工事や完成後の運営も地元の企業に委託する方針を貫いた。

資金は静岡銀行をはじめとする民間の金融機関からプロジェクトファイナンス方式で調達して、国や県から補助金は受けない。

工事は県内の建設会社に発注し、発電所を運営するゲネシスは牧之原市に本社を置いている。

 

発電事業にかかわる業務を可能な限り地産地消スタイルで実施することによって、再生可能エネルギーを通じた地方創生のモデルを構築することが狙いだ。

アーキアエナジーは牧之原市のプロジェクトに続いて、東京都内にバイオガス発電所の建設を計画している。

さらに関西地区と東海地区で1カ所ずつ、北関東地区では3カ所に展開して、2020年までに合計7カ所へ拡大させる。

 

全国では都市部を中心に年間に約2,000万トンにのぼる食品廃棄物が発生している。

その多くは飼料や肥料として再利用できるが、農業や畜産業の縮小によって消費量は減少傾向にある。

新たにバイオガス発電の原料に生かして再利用率を高めることが可能になる。

 

牧之原市を例にとると、市内で発生するバイオマス資源のうち、最も多いのは浄化槽の汚泥で、2番目が家畜ふん尿、3番目が食品廃棄物(産廃系生ごみ)である。

食品廃棄物の84%は再利用しているが、残る廃棄物を周辺地域の排出分と合わせて再生可能エネルギーの電力に転換できる。

 

 

 

スマートジャパンより

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BDF装置をコンパクト化

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東京都市大学工学部エネルギー化学科准教授の高津淑人(こうづまさと)氏は、廃食用油を利用したバイオディーゼル燃料(BDF)製造装置のコンパクト化につながる連続的生産法を新たに考案した。

 

現在、BDFの国内需要は伸び悩み傾向となっているが、アジアなど海外での展開に期待を寄せており、事業化を目指している。

 

同生産法は、装置に原料となる廃食油を連続的に供給する流通型とすることで従来の生産法に比べ、効率的な生産が可能となるという。

今回、同氏が開発した連続的生産法と、すでに発表済みの有害廃液を副生しない「石灰石」の触媒利用により、これまでBDF普及の阻害要因となっていた経済的合理性と有害廃液副生が解消されるという。

実証実験では、よい結果が出ており、手応えを感じているという。

当面、従来の製造装置に比べ、コストを同程度に抑えることなど課題解決に取り組む。

 

近年、高性能排ガス浄化装置搭載の車両が普及し、エンジンに不具合が生じる恐れからBDF100%燃料の需要家が減少。

 

BDF5%燃料も、製造・給油施設などのインフラが限定的な普及にとどまっているため、利用が進まない状態が続いている。

反面、地球温暖化防止など環境対策面では排出事業者側の関心は依然として高く、主要な用途の一つとみられている。

 

こうした情勢を踏まえつつ、同氏が注視するのは、アジアなど海外での利用普及。

現地でのエネルギーの地産地消が可能になるとみている。

 

 

 

循環経済新聞より

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排熱発電を導入

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宇部興産はセメント製造の主力拠点である伊佐セメント工場(山口県美弥市)で排熱発電設備を新設する。

 

セメントをつくる過程で排出される熱を回収して発電や原料乾燥用の熱源として再利用する。

 

エネルギーの有効活用で工場の電力自給率を100%に近づけ、二酸化炭素(CO2)の排出量を最大10%減らす。

 

 

 

投資額は70億~80億円。

2017年度に着工して2019年度の稼働を目指す。

 

宇部興産はセメント工場での環境対応を進めるため、まず2016年1月に苅田セメント工場(福岡県苅田町)で排熱発電設備を稼働させた。

主力拠点の伊佐工場でも同様の仕組みを導入する。

 

セメント工場では石灰石や廃棄物などを砕いて混ぜた原料を「キルン」という回転窯の中でセ氏1,500度近い高温で焼き固め、中間製品の「クリンカー」をつくる。

伊佐のクリンカー生産量は年380万トンで国内有数の規模を誇る。

 

新設する排熱発電設備は伊佐工場に2基あるキルンの1つに入れる。

原料をいったん800度程度で仮焼する予熱装置から出る排熱を回収し、ボイラーで発電する。

ボイラーからの排熱は原料の乾燥に使う熱に再利用する。

またキルンでつくられたクリンカーを急冷させた時にでる熱も回収して発電に使う。

 

伊佐工場では既に出力約5万7,000キロワットの自家発電設備があり使用電力の9割を賄っている。

新設備の導入により、原油価格などに影響されやすい外部購入による電力を削減。

工場で使用する電力のほぼ全量を自給できる体制にする方針だ。

 

エネルギーの有効活用で燃料使用量とCO2の排出も抑える。

伊佐工場のエネルギー原単位(製品量に応じたエネルギー利用量)は10%改善できるという。

伊佐工場ではCO2を年148万トンを排出していたが、最大10%を削減する。

 

宇部興産の松波正取締役は「コスト削減を進めて高効率な工場にしたい」と話す。

セメントの国内需要は2020年の東京五輪に向けて特需が期待されるが、中長期的には公共投資の縮小や人手不足による施工数の減少で伸びは見込みにくい。

収益性を高めるため、運営の効率化が課題となっていた。

【古川慶一】

 

 

 

日経産業新聞より

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再生可能エネルギー

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固定価格買取制度(FIT)が始まって4年が経過するあいだに、再生可能エネルギーの導入量は順調に伸びてきた。

 

この間に運転を開始した発電設備の規模は3,000万kW(キロワット)を超えた。

 

大型の原子力発電所30基分を上回り、国内の電力源として大きな役割を担い始めている。

 

 

 

再生可能エネルギーによる電力の供給量は増え続けて、2015年度には国全体の4.7%まで拡大した。

従来の水力発電と合わせると14.3%になり、2020年度には20%を超える勢いだ。

今後も原子力を上回る規模の電力を供給していく。

 

政府が2030年度の目標に掲げるエネルギーミックスでは、CO2(二酸化炭素)を排出しない再生可能エネルギーと原子力で44%まで高める計画だ。

いまや再生可能エネルギーだけで30%以上を供給できる状況が見えてきた。

原子力の再稼働が目標どおりに進まなくても、電力の供給量とCO2の削減量に支障は生じない。

 

これまで再生可能エネルギーの問題点に挙げられてきた2つの課題がある。

 

1つは天候によって発電量が変動すること、もう1つは発電コストが高いことだ。

 

発電量の変動を解決する手段はいろいろある。

地域間で需要と供給を調整するほかに、企業や家庭で自家消費を増やしていく。

 

FITの買取価格が電気料金を下回る水準になると、売電よりも自家消費のメリットのほうが高くなる。

再生可能エネルギーで作った電力を自家消費して、電気料金を安く済ませるようになる日は遠くない。

国全体で買取費用の拡大を防ぎ、電気料金に上乗せする賦課金の上昇を抑える必要がある。

 

政府は再生可能エネルギーの拡大策を2017年度に大きく転換する。

これまで買取制度に依存して導入量を伸ばしてきた状態から、自家消費や地産地消による「自立できる再生可能エネルギー」を目指す。

そこで最も重要な対策が発電コストの低減だ。

 

日本では再生可能エネルギーの発電コストが海外と比べて2倍近い水準にある。

国土が狭くて土地代が高い問題はあるものの、いまだ市場が未成熟で競争が少なく、その一方で流通経路が複雑な構造になっていてコストの増加を招いている。

こうした問題を解決していけば、発電コストを大幅に下げることは十分に可能だ。

 

太陽光発電と風力発電のコストに対して政府の目標値がある。

事業用(非住宅用)の太陽光発電のコストを2020年に14円/kWh(キロワット時)へ、さらに2030年に7円/kWhまで引き下げる。

14円は企業向けの電気料金の単価と同じ水準になり、7円になると原子力や石炭火力の発電コストよりも安くなる。

 

同様に住宅用の太陽光発電のコストも低下させて、2019年には売電価格を家庭向け電気料金の単価と同程度の24円/kWhまで引き下げる。

さらに2020年代の早期に売電価格を11円/kWhまで下げることで、卸電力市場で取り引きする電力の単価と同等にする。

 

すでに海外では太陽光発電による電力の取引価格が6円/kWhを切るケースも出始めている。

太陽光をはじめ再生可能エネルギーの電力は、バイオマスを除けば燃料費がかからないからだ。

発電設備を長期に運転すれば、安い単価で電力を供給しても採算がとれる。

日本でも2017年度に改正するFITの新制度を通じて、発電コストの低減にはずみがつく。

 

 

 

太陽光の買取価格がまもなく20円を切る

 

太陽光発電の買取価格は2017年度に事業用が21円になり、FITを開始した当初の40円から5年間で半分の水準まで下がる。

加えて発電能力が2,000kW以上の大規模な発電設備には入札方式を導入して、21円以下の買取価格で取り引きする。

もはや20円を切るのは時間の問題だ。

 

住宅用の太陽光発電の買取価格についても、3年後の2019年度に24円まで引き下げることが決まった。

政府が太陽光発電のコスト目標に掲げた家庭向け電気料金の水準と同じだ。

2020年代には電力を買うよりも太陽光発電で自家消費するほうが安く済む。

住宅に太陽光発電を導入するインセンティブが再び大きくなっていく。

 

太陽光発電の導入コストの多くを占めるのは太陽光パネルだ。

このところパネルの価格低下が進んだことで、「過積載」の太陽光発電設備が増えてきた。

発電した電力を送配電ネットワークに供給するためにはパワーコンディショナー(パワコン)が必要になる。

パワコンの容量に対して100%を超える出力のパネルを設置する場合を過積載と呼んでいる。

 

太陽光パネルの出力は日中に最大になり、朝や夕方には低下する。

日中に発電した電力がパワコンの容量を超えて余剰になっても、数多く設置した太陽光パネルで朝や夕方の発電量を増やすことができれば、1日の総発電量は多くなる。

それだけ売電収入が増えて、パネルの導入コストを上回る状況になってきたわけだ。

 

過積載が進んだ結果、太陽光発電の設備利用率(発電能力に対する発電量の割合)は年々上昇している。

発電能力が1,000kW以上の実績値を見ると、2015年7月~2016年6月に運転を開始したケースでは設備利用率が15.1%になっている。

1年前と比べて0.5ポイント高い。さらに2000kW以上の発電設備では16.3%に上昇する。

 

FITが始まった2012年度の時点の太陽光発電の設備利用率は12%を想定していた。

当時の設備と比べて年間の発電量が25%以上も増えている。

国土の狭い日本でも、土地を有効に利用して太陽光の発電量を拡大できる方法が広がってきた。

 

その1つが農地を活用した営農型の太陽光発電だ。

農地に支柱を立てて高い位置に太陽光パネルを設置したうえで、パネルの下では農作物も栽培する。

太陽光を発電と農業の両方に利用することから「ソーラーシェアリング」と呼んでいる。

全国各地に荒廃する農地が増えている中で、発電と農業による収入の増加を農地の再生につなげていく。

 

最近では一般の農家が運営する小規模なソーラーシェアリングに加えて、企業による大規模な導入事例も増えてきた。

典型的なプロジェクトが鳥取県の日本海側にある北栄町(ほくえいちょう)で始まっている。

面積が1万8,000平方メートルある農地に、4,200枚の太陽光パネルを設置して2015年11月に運転を開始した。

発電能力は1,000kWで、現在のところ国内最大の営農型による太陽光発電設備だ。

 

年間に105万kWhの電力を供給して、4,200万円の売電収入を見込んでいる。

太陽光パネルの下では、ビルの屋上緑化などに使う「常緑キリンソウ」を栽培して販売する。

農作物の収入は売電と比べると小さいが、農地を活用して再生可能エネルギーを増やす効果は大きい。

 

 

 

風力発電のコストも電気料金に近づく

 

日本では太陽光発電の導入量が圧倒的に多いが、海外では風力発電が再生可能エネルギーの主流になっている。

導入量の増加に伴って発電コストが低下して、2016年には全世界の平均で8.8円/kWhまで下がった。

最新の事例では3円/kWhを切るケースもある。

 

これに対して日本の風力発電の平均コストは13.9円/kWhと高く、海外の1.6倍の水準だ。

政府は太陽光発電と同様に風力発電のコスト低減を進めて、2030年までに現在の海外の平均値と同等の8~9円/kWhを目指す。

実現できれば原子力や石炭火力の発電コストよりも低くなって導入にはずみがつく。

 

風力発電でも設備利用率が高くなってきた。

従来は標準で20%を想定していたが、直近の実績値では24.8%まで上昇している。

同じ能力の設備でも年間の発電量が2割以上も増える。

これを前提に風力発電の買取価格は3年後の2019年度に19円まで引き下げる予定だ。

既設の発電設備をリプレースした場合には16円になる。

買取価格が企業向け電気料金の水準(14円/kWh)に近づいていく。

 

ただし風力発電には騒音や動植物に対する影響の問題がある。

人家の近くや鳥類の生息地には建設しにくい。

その点で将来に向けて導入量の拡大を期待できるのは洋上風力だ。

工業地帯にある港湾区域や沖合の一般海域でも洋上風力発電の導入プロジェクトが増えてきた。

 

現在のところ発電設備を海底に固定する「着床式」を採用する事例が多いが、日本の近海には遠浅の部分が少ないために、着床式で建設できる海域は限られている。

今後は洋上の発電設備をアンカーチェーンで安定させる「浮体式」が増えていく。

 

浮体式の洋上風力発電で世界最大級の実証設備が、福島県の沖合20キロメートルの海域で運転中だ。

3基の大型風車と1基の変電設備から海底ケーブルで陸上まで電力を供給する。

発電能力は合計で1万4,000kWに達して、一般家庭の1万世帯分に相当する電力を洋上で作ることができる。

 

この実証設備で導入効果を確認できれば、浮体式による洋上風力発電の開発プロジェクトが全国に広がっていく。

導入事例の増加に伴って発電コストは下がる。

2030年代には陸上風力よりも洋上風力の導入プロジェクトのほうが多くなる見通しだ。

 

 

 

バイオマスに続いて中小水力と地熱発電も

 

5種類ある再生可能エネルギーの発電設備の中で、太陽光の次に導入量が増えてきたのはバイオマス発電だ。

すでに280万kWにのぼるバイオマス発電設備が運転を開始したほか、運転開始前の認定設備を加えると500万kWを超えている。

現時点で運転中のバイオマス発電設備は生ごみなどの一般廃棄物を燃料に利用するものが多い。

 

今後は全国各地の森林にある間伐材を活用した木質バイオマス発電に加えて、海外から輸入するパームヤシ殻などの農作物残さを利用する発電設備が増えていく。

パームヤシ殻はヤシの実から油を抽出した後の殻の部分を乾燥させて砕いた木質バイオマスの一種で、東南アジアから安く大量に調達できるメリットがある。

 

パームヤシ殻を燃料に利用した場合の買取価格は、現在のところ事業用の太陽光発電と同じ24円だ。

ただし発電能力が2,000kW以上になると、2017~2019年度に認定を受けた場合には21円に下がる。

それでも通常の火力発電のコストと比べて高いが、生物由来の燃料を使ってCO2の排出量を削減できる価値がある。

 

 

 

バイオマス発電に続いて中小水力発電の導入量も着実に伸びている。

ダムの直下に発電所を建設して放流水を利用する方式のほか、農業用水路や水道管に小規模な発電設備を導入する事例が増えてきた。

 

最近では古い水力発電所をリニューアルして発電量を増加させるプロジェクトが各地で始まっている。

典型的な例は島根県の企業局が運営する6カ所の水力発電所のリニューアルだ。

運転開始から40年以上を経過した水力発電所を対象に、老朽化した設備の更新を進めている。

 

リニューアルしても発電に利用できる水量や落差は従来と変わらないが、設備を更新することで稼働時間が長くなって発電量が増える。

合わせてFITの認定を受ければ、高い買取価格で売電できるようになる。

既設の導水路をそのまま活用して発電設備を更新した場合には、買取価格は12~25円の範囲だ。

すでに火力発電の水準に近づいている。

 

 

 

再生可能エネルギーの拡大に向けて、残る課題は地熱発電だ。

日本には世界で第3位の地熱資源量がありながらも導入量は少ない。

FITの対象になっている地熱発電設備を合計しても1万kW程度にとどまっている。

地熱資源の豊富な火山地帯が自然公園に指定されていて、発電設備の建設に厳しい制限があるからだ。

温泉地では地元が反対するケースも少なくない。

 

そうした中で温泉地を活性化するために地熱発電所の建設に乗り出す地域が出てきた。

阿蘇山の北側にある熊本県の小国町(おぐにまち)では、地元の住民が地熱発電所の建設を推進した。

再生可能エネルギーを生かした町づくりで観光客を呼び込み、新たな雇用を創出する狙いもある。

 

同様の取り組みは全国の温泉地に広がり始めている。

地熱発電の排熱をビニールハウスに供給して野菜や果物の栽培に利用する例も増えてきた。

再生可能エネルギーの電力と熱を地産地消しながら、地域の農業や観光業を盛り上げる試みだ。

 

 

 

スマートジャパンより

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水力発電でトラクター運転

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京都府福知山市夜久野町畑地区の住民グループが谷水を利用した小水力発電の電気で動くトラクターの開発に、大阪の企業と取り組んでいる。

 

12日には同町畑の水田で試作品の耕運試験を初実施した。

 

住民は「電力を地産地消し、トラクターの燃料費を無料化したい」と夢を膨らませている。

 

 

 

過疎高齢化が進む地域の活性化を目指す「畑七つの里づくり協議会」。

2014年度から水流を利用して金属製水車を回す小水力発電機2基を畑地区に設置している。

電気は街灯などに活用予定だったが、災害時に停電が長期化する懸念から、農業への有効利用につなげることになった。

 

トラクターの開発は、京都府や大阪府の自動車整備会社が集まって電気自動車の生産販売を手がける「EVジャパン」(大阪府豊中市)と行っている。

試作品は夜久野町にあった中古トラクターの軽油エンジンを外し、モーターや蓄電池を載せ、約2カ月かけて完成させた。

 

同社によると、電動のトラクターはまだなく、小水力発電の電力を使う前に機械の性能を試す試験を行った。

 

試験で電動トラクターは静かに動き、刃を回転させて田を耕した。

試乗した住民は「普通のトラクターと変わらない」と驚いた。

約8時間は走行可能といい、来年3月までに小水力発電で充電した試験も実施する予定。

 

同協議会の中島俊則副会長(73)は「消費電力も少なく、パワーも十分。電動トラクターを地元に広げたい。排ガスもなく、自然エネルギーを利用した農作物は、付加価値がつく」と語った。

 

 

 

京都新聞より

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