「地熱でレタス」に注目

投稿者:

 

東京電力福島第1原発事故からの復興を目指す福島県天栄村で、地熱を活用したリーフレタスの水耕栽培が行われている。

 

村が地熱発電の調査用に掘った井戸を再利用した全国でも珍しい取り組み。

 

再生可能エネルギーを農業と地域社会に生かす新たなモデルとして注目を集めつつある。

 

 

 

ハウス内では、一面にリーフレタスが育っていた。

通常のハウス栽培のようだが、温度管理の仕組みに特色がある。冬場は地熱を熱交換で温風にして暖房に利用。

夏場は沢の水を同様に冷房として使う。

 

「人手が必要なのは種まきや植え付け、収穫の時だけ」。

栽培を担当する星あき子さん(57)が胸を張る。

液肥の補充や天井の開閉による光量調節も自動化されており、農業未経験者でも容易に管理できるという。

 

暖房に使用している地熱の井戸は2000年代半ば、村が地熱発電のための調査で地下約1,400メートルまで掘削したものだ。

約50度の温水が、1分当たり20~70リットル湧き出す。

発電には向かないと判断され放置されていたが、2012年、国の補助を受けて農業施設として生まれ変わった。

 

今年5月までは村の直営だったが、現在はNPO法人「湯田組」が運営を請け負う。

同法人の事務局長星昇さん(37)は「試験用の井戸のほとんどは埋め戻されている。ここは地熱を地域のために活用しているという点で大きな意義がある」と指摘する。

 

昨年は約1万株のレタスを生産。

特産品として地元の直売所やホテルに出荷している。

 

 

 

福島民友新聞より

0

ジビエ給食

投稿者:

 

小中学校の給食に地元産のシカ肉を出す取り組みをしている和歌山県の古座川町教育委員会は、同町高池の町中央公民館で24日、シカ肉を使った新たな給食メニューを開発するため、各学校の給食調理員らを対象にした調理講習会を開いた。

 

参加者は、講師に教わりながらシカ肉のハンバーグやカレーなどを作って試食し、今後提供するメニューについて考えた。

 

 

 

調理講習会には、給食調理員や栄養士、担当教員ら計約20人が参加。

講師は、兵庫県丹波市にあるシカ料理専門店のオーナーシェフで農林水産省認定の「地産地消の仕事人」を務めるなど、シカ肉のおいしさを広める活動をしている鴻谷佳彦さん(39)。

丹波市の幼稚園や小中学校で、ジビエを使った給食メニューの提案もしている。

 

参加者は初めに、鴻谷さんからシカ肉の調理法について話を聞いた。

シカ肉はタンパク質やミネラルが豊富で、脂肪がほとんどない優れた食材だといい、再冷凍しないことや火を通し過ぎないことなどに注意し、個体によって肉の違いがあることを前提に調理を楽しんでほしいと説明を受けた。

 

その後、鴻谷さんが提案したシカ肉のハンバーグ、カレー、竜田揚げ、シチューを作り、参加者や各校の校長が試食した。

給食の献立は各学校の担当教員が考えており、今後、町教委と相談しながら提供するメニューを決めるという。

 

 

 

紀伊民報より

0

地産地投

投稿者:

 

地方の大学発ベンチャー(VB)へ投資する地域ファンドが拡大している。

 

地方銀行が主に資金の出し手となるファンドは地域資源の事業化を支援したり、地方大学の研究シーズを企業に結びつけたりする。

 

大学と連携して新産業を育成し雇用を創出して地方創生につなげる。

 

マイナス金利で投融資先の開拓を迫られる地銀の事情もある。

 

 

 

三方を海に囲まれた鳥取県境港市。

同市で育った漫画家の故水木しげる氏がか描いた妖怪の銅像が道端に並ぶ通りを抜けると工場が現れる。

 

2月に設立した島根大学発VB、なかうみ海藻のめぐみ(境港市、夏野慎介社長)の工場だ。

 

山陰合同銀行が中心に出資する大学発VBファンド「しまね大学発・産学連携ファンド」から9,000万円の投資を受けて、海藻を原料にした肥料を開発する。

夏野社長は「用途がなかった海藻の活用で地域経済を循環させて雇用を生み出したい」と意気込む。

 

鳥取と島根の両県では腐敗による水質悪化を防ぐため海藻を回収して肥料にしている。

海藻は肥料の3要素の1つであるカリウムを豊富に含みコメやナシに与えると味が良くなることは昔から知られ、細々と行われていた。

ただ取り出す効率が悪く、肥料化できる海藻は微々たるものだった。

 

同社は土壌分析で定評のある島根大の研究成果を取り入れることで海藻を肥料にする際の生産性や品質向上を目指す。

改良した肥料は地元農家に販売する。

5年後には売上高3億円を目指す。

 

なかうみのような地方大発VBを支援するファンドが全国各地に広がり始めた。

 

山陰合同銀は地域経済活性化支援機構(東京・千代田)と組み、島根と鳥取の両大学に関係したVBへの投資に特化したファンドを設立した。

総額は各10億円。

鳥取大VBでは14日、テムザック技術研究所(鳥取県米子市、檜山康明社長)に1号案件として8,000万円を投資し、内視鏡検査の訓練ができる医療教育用ロボット開発を支援する。

 

伊予銀行は愛媛大学と連携して愛媛大発のVBに投資するファンドをつくった。

総額は1億円。

同大学が強みを発揮する環境や水産関連の技術を基に設立したVBに出資する。

「大学が保有する特許などの知的財産権を(事業化という形で)地域に還元する」(愛媛大学)

 

神戸大学は起業して日が浅いVBを戦略的に支援する。

創業期のVBに500万円程度少額出資し、経営に深く関与して事業化を後押しする。

 

大阪大学など近年設立した大学発VBファンドは国の補助金を得て大学も投資する形が多い。

今回のような地方の大学発VBファンドの資金の出し手は地方銀行だ。

地銀の中小企業支援は従来融資業務が主体だった。

ただこうした融資主体の取引は壁に突き当たっている。

山陰合同銀行の石丸文男頭取は「山陰では企業数が30年で4割減った。新しい産業を生み出すには銀行もリスクをとらないといけない」と投資業務の必要性を強調する。

 

背景には日銀のマイナス金利政策で銀行が投融資先の新たな開拓を迫られているという金融機関側の事情もある。

 

課題も残る。

地方大は企業のシーズとなる技術や研究成果は東大や阪大などトップ大学と比べて少ない。

VB投資は幅広く目配りをするのが基本だ。

地方創生から特定の大学に傾斜したファンドにはおのずから高いリスクもつきまとう。

大学を起点に新産業を創出するサイクルを回し続けるには投資をきちんと回収するモデルを確立しなくてはならない。

地方大ファンドには都市部以上の高い目利き力と経営支援力が求められる。

 

 

 

日本経済新聞より

0

高齢者人材をコンビニ派遣

投稿者:

 

青森県シルバー人材センター連合会とサークルKサンクス(東京)は16日、高齢者人材活用に関する基本協定を締結した。

シニア世代の就業確保や地域社会への貢献、店舗の人手不足解消などが期待される。

県組織の連合会が、就労関連の協定をコンビニエンスストア業界と結ぶのは全国初。

 

協定によると、県内のサークルK、サンクスの店舗で生まれる臨時的、短期的な就業の機会を、連合会の派遣実施事業所に当たる県内各地のシルバー人材センターが担う。

 

同社と各センターが契約を結び、直営店舗で実施する10日間(40時間)の就業体験実習に、原則60歳以上のセンター会員を派遣。

その上で各店舗と各センターが派遣契約を結び、実習を終えた会員の中から適任者を選んで働いてもらう。

 

10月5日には、弘前市のサークルK弘前城東中央店で4人一組の実習を始める。

業務上の心構えやマナーを学んだり、レジ操作や清掃といった実務を担ったりする。

 

同社が高齢者の就労支援で自治体と連携するのも今回が初めて。

同社の県内190店舗に対する調査の結果、半数以上が人手不足を実感している状況も踏まえ、今後はフランチャイズ店舗への導入などを検討していく。

 

今回の協定は、同社と県が2008年10月に結んだ連携・協力包括協定が端緒となった。

締結後、県庁に三村申吾知事を訪ねた連合会の織川貴司会長は「県の協定があったからこそ、このたびの取り組みに結び付いた」と説明。

同社の塚本直吉常務は「高齢化社会でシルバーの力を借りない手はない。働きやすい環境をつくっていく」と話した。

 

三村知事は「プラチナの人材とも言える人たちの能力を生かし、健康・生きがいづくりにもつなげてほしい」とエールを送った。

 

 

 

河北新報より

0

「ふるさと名物応援宣言」

投稿者:

 

経済産業省が推進する「ふるさと名物応援宣言」を表明した甲州市の田辺篤市長と富士川町の志村学町長は県庁で記者会見して、ふるさと応援の概要を発表した。

 

甲州市は特産品「甲州ワイン」の海外展開とともにワイン愛好家がワイナリーを巡るワインツーリズム拡大を支援。

 

富士川町は落語「鰍沢」の舞台として「落語のまち」を全面に押し出し、民間企業が進める新商品開発をバックアップする。

 

 

 

「…応援宣言」は“わがまちのふるさと名物”として、地域の中小企業が連携して、地域資源を活用した新商品開発やサービスのブランド化を国、市町村が支援する新たな制度として注目されている。

継続的な取り組みによって地域が元気を取り戻すことで、売り上げ増や雇用の拡大といった経済好循環が期待される。

 

記者会見に同席した関東経済産業局の渡部季公子(きくこ)経営支援課長は「(新制度は)地域の産業資源を生かして、連携した企業がブランド化を目指し、これを地域が一丸となって応援、情報発信して盛り上げようという考えから生まれた。

行政の応援宣言で、連携した企業の商品・サービス開発、生産、販路開拓などの取り組みに国が事業費用を補助する」と説明した。

従来の行政主導の活性化策ではなく、地域の多様な中小企業が中心となり、連携して商品開発や販路拡大を目指し、行政はサポート役として事業を盛り上げる。

 

田辺市長は「甲州ブドウのワイン醸造は明治12年にスタートした。市内の30社を超えるワイナリーが頑張って、ここ2、3年で甲州ワインが世界で認められてきた。同時にワインツーリズムも盛んになった。歴史あるワインを世界の人々に飲んでほしいという思いから応援宣言となった」と話す。

同市では昨年秋に「甲州ワイン乾杯条例」を設けており、ワインを通じて人々がつながる取り組みを本格化していることから、行政、住民がワインツーリズムの拡大を支援してワイン愛好家を増やし、さらには甲州ワインの海外輸出に国の補助金を活用してサポートする考えを示した。

 

一方、落語『鰍沢』は江戸時代に庶民の間で流行した身延参詣を基に落語家によって創作され、現在の富士川町が舞台となっている。

志村町長は「落語をキーワードに観光プログラムを作り、民間企業による観光客誘致に乗り出す。商品開発計画もあり、菓子店、旅館、酒販店などが連携して進める計画だ。町内の商店や企業の動きを応援していきたい。落語祭りも計画して企業や団体の活動を支える」と話し、落語を素材として“楽しい町”づくりをバックアップする方針だ。

 

 

 

産経新聞より

0

休耕田からスキンケア商品?

投稿者:

 

基山町宮浦の農業、吉田猛さん(62)が自宅近くの休耕田でオーストラリア原産の大型鳥、エミュー4羽を飼い、近所の話題となっている。

 

肉や脂肪から加工品作りを計画する福岡県筑紫野市の節電器レンタル業「日本エコシステム」(藤沢博基社長)から委託され、昨年11月に始めた。

 

丈夫なため休耕田などで放し飼いもできることから、新たな地域活性化策として注目される。

 

 

 

エミューは、ダチョウに次いで世界で2番目に背の高い鳥。

成鳥は体高170センチほどに成長する。

オーストラリアでは古くから脂肪から薬を作ったり、肉を食料にしたりしているという。

 

日本でも1999年に、畜産化の試みがスタート。

東京農大が北海道で飼育や商品化を研究し、販売などを手掛ける会社を起こした。

「人間の皮膚に含まれる成分に近く、肌に浸透しやすい」と脂肪からスキンケア化粧品を作り、卵を使った菓子も販売する。

この活動を知った藤沢社長が昨年1月、商品化に向けて九州で初めてエミューの飼育を始めた。

 

藤沢社長は、休耕田などを使えば土地が有効に活用できる点に着目。

土地の所有者らに委託料を払い、育ててもらう仕組みを導入し、すでに基山町や福岡市早良区など福岡、佐賀両県の牧場4カ所で約40羽を飼育する。

 

吉田さんがエミューを飼い始めたのは、日本エコシステムが基山町に飼育者の仲介を頼んだのがきっかけ。

2012年まで米を作っていた水田約300平方メートルが空いていた。

「休耕田は中山間地にあり、農業では成り立たない。新しいことをしたかった。おとなしくて飼いやすい」と目を細める。

 

同社はエミューの数を増やす方針で、新たな飼育者を募っている。

 

 

 

西日本新聞より

0

「ふるさと名物」開発を支援

投稿者:

 

一般会計全体の中小企業対策費は1856億円で、2014年度当初予算に比べ3億円増とほぼ横ばいとなった。

 

中小企業は大企業よりも安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の効果が十分に及んでおらず、2014年度補正予算と一体で経営改善を支援する。

 

具体的には、地域資源を活用した「ふるさと名物」の開発や、海外への販路開拓の支援に16億1,000万円を計上した。

地域の中小企業や、小規模事業者の活性化につなげることが狙いだ。

 

 

 

中小企業が研究機関と連携して行う革新的な製品開発には128億7,000万円を充当。

小規模事業者が商工会などと連携して経営計画を作成したり、広域に販路開拓したりする費用の支援などには46億5,000万円を確保した。

創業を目指す女性や若者らの支援にも7億6,000万円を計上した。

 

人材確保が困難な地域の中小企業に対し、国が大企業や地域金融機関と連携して人材の紹介から定着までを支援する事業に10億円を充てた。

 

中小企業が消費税増税分を適正に価格に上乗せできるようにする転嫁対策には38億7,000万円を充て、大企業による転嫁拒否が生じないよう監視を継続する。

 

 

 

SankeiBizより

0

地方路線バス会社復活の秘密

投稿者:

 

地方路線バス会社として、全国で初めてお客さまの減少をストップさせ、増収増益をかなえた十勝バス。

お客さまの自宅を一軒一軒直接訪問、路線バスを利用して観光地をまわるバスパック商品の開発など、それまでの地方路線バス会社の常識を打ち破る施策を多数実施した。

 

 

 

お客さまの不安を解消することに努めた結果、増収増益を実現する。

見事な復活劇の裏にあったお客さま満足度を高めるための地道な取り組み、野村文吾社長の想いに迫った。

 

 

▼多額の負債を抱える赤字会社が生まれ変わったターニングポイント

 

井上:野村さんは、多額の負債を抱えていた十勝バスをお父さまの代から引き継ぎ、お客さまの減少からの脱却をかなえるさまざまな施策によって、会社復活の立役者となりました。

これまで十勝バスはどのような変遷をたどってきたのですか。

 

野村:十勝バスは大正15年(1926年)に創業しました。

帯広市内をはじめ、十勝方面で路線バス、貸切観光バス、スクールバスや福祉ハイヤー事業などを展開しています。

利用者数のピークは昭和44年の2,300万人。

現在の利用者数は400万人です。

利用者数は5分の1以下に減少しています。

 

私が入社した1998年当時、十勝バスは40億円もの負債を抱える危機的な状況の会社でした。

1900年から徹底した合理化を行い、資産の売却や人件費削減に取り組むことで、会社をなんとか存続させている状態でした。

 

社長になって10年が過ぎた頃、人件費の削減にも限界が見え、営業を強化する施策に打って出たことをきっかけに、会社の状態が好転し始めます。

地域のお客さまの自宅へ直接訪問し、挨拶をするとともに、お客さまの声を直接聞いてまわったのです。

そこで得た意見をもとに、サービスの改善に取り組みました。

それまでのバス会社の常識は捨て、お客さまのニーズを確実につかむことで、着実に売り上げを伸ばしていきました。

 

井上:40億円もの負債があったにもかかわらず、会社を継ごうと決心したのはどうしてですか。

 

野村:当初、父からは「会社をたたむことにした」という報告を受けていました。

一度は了承したのですが、思い直し、私に社長をやらせてほしいと頼みに行きました。

 

それまで、父からは会社を継いでほしいと言われたことは一度もありませんでした。

自分の力を信じて自分で道を切り拓いていけと言われて育ったので、いつも自分の好きなように生きていたように思います。

しかし、そうやって好きなことをしてこられたのも、十勝バスがあったからこそ。

地域の皆さんが十勝バスを利用してくれたおかげなんです。

このことに気付いたとき、誰もやらないなら私がやるしかないという想いが湧いてきました。

地域の皆さまに恩返しをしたいという気持ちが強かったですね。

 

 

▼お客さまとの信頼関係を結び直す地道な訪問活動から改革が始まる

 

井上:地域の皆さまのためという気持ちが強かったからこそ、成し遂げられた会社の復活だと言えそうですね。

具体的にはどのような施策を行ったのですか?

 

野村:徹底的な合理化が進められ、人件費の6割をカットしていたので、それ以上の削減は難しい状態にまで追い込まれていました。

2006年、急激な原油高 騰によって経営がさらに圧迫されたことをきっかけに、翌年の2007年から地域の皆さまのもとへ直接足を運ぶスタイルで営業活動を始めました。

それまでの十勝バスは、40年間毎年乗客数が減り続け、一度も増えたことがありませんでした。

そのような背景がありましたので、営業活動を始めた当時は、社内には無駄な努力だという雰囲気が漂っていました。

 

営業活動は、ひとつの停留所から半径200メートルの範囲に限定して始めました。

その停留所付近の民家を一軒一軒訪問し、意見を聞きました。

バスを利用しなくなったのは、地域の皆さまとバス会社との間の信頼関係が弱まってしまったからです。

たわいもない会話だとしても、直接相手の顔を見て話すことで、信 頼関係を結び直していけると考えたのです。

 

井上:実際に地域住民と話をしてみて、どのような反応がありましたか。

 

野村:玄関先で「十勝バスです」と伝えると、7割の人が玄関を開けてくれました。

80年間にわたってバスを運行してきた信頼がまだ残っていたんだと実感しました。

バスの話をすると、バスに乗っていないことを謝る方がほとんどでした。

公共交通機関は町づくりと表裏一体だと言われます。

バス会社が苦しくなることで、自分たちの町によくない影響が出ていると心の底では理解しているのだと分かりました。

そう感じているならば、信頼関係を結び直し、誰もが利用しやすい環境さえ整えれば、バスを利用してくれる可能性が高まるかもしれません。

十勝の皆さまが年に1回でもバスに乗ってくれれば、業績は好転します。

地域の皆さまの声に真摯に向き合い、改善点をあぶり出しました。

 

 

▼お客さまの不安を解消する施策によって、利用者数がアップ

 

井上:バスを利用しやすい環境を整えるため、具体的にはどのようなことをしたのですか。

 

野村:実際に話を聞いて多かったのは、「バスの乗り方が分からない」というものでした。

「バス停があるのは知っているけれど、どこに行くのか分からない」

「料金がいくらなのか知らない」

「バスの扉は2つあるけれど、どこから乗ったらいいのか分からない」

「料金をどこで支払うのか分からない」というような声です。

私たちバス会社の人間は、バスの乗り方を知っている前提でお客さまと接してきたので、このような声が多数あったことに衝撃を受けました。

 

確かに、もし自分が知らない土地へ行ったとしたら、行先が分からないので、バスには乗れません。

分からないという状態は不安につながり、不安はバスの利用を阻害している要因になります。

不安を解消すれば、バスに乗るモチベーションを高めてもらえるかもしれないと考えました。

 

それからは、地域の皆さまのもとへ訪問するとき、バスの乗り方を丁寧に説明してまわることにしました。

皆さまからいただいた声をもとに、バスの乗り方を分かりやすく解説するパンフレットも作成し配布しました。

その甲斐があったのか、乗客が少しずつ増加。

結果が出たことで、社員たちも自信を持つようになっていきました。

ひとつの停留所から始めた営業強化活動は徐々に範囲を広げ、着実に乗客数を増やしていったのです。

 

 

▼お客さまにとって、バスに乗るのは目的ではなく手段

 

井上:他にはどのような施策をされたのでしょうか。

 

野村:お客さまがよく利用するスーパー、病院、市役所などの施設の場所をバスの路線図に写真入りで分かりやすく表記したパンフレットを作成しました。

お客さまにとってバスに乗ることは、目的地へ行くまでの手段にすぎません。

そのことをいつの間にかバス会社の私たちは忘れてしまっていたように思います。

どんなにバスのすばらしさを伝えようとしても、お客さまには興味のないことです。

興味があるのは、行きたい施設へバスが行くのかどうかということだけです。

 

観光で十勝に来たお客さまが多数利用してくれた商品もあります。

バス路線上にある施設の利用と往復のバス運賃をセットにした「日帰り路線バスパック」という商品です。

路線バスの利用によって、その日のスケジュールをお客さまで調整しながら観光することができるので、自由度の高い観光が可能になります。

目的地へ確実に行けるということを伝えることによって、その土地のことを知らなくても、不安を感じることなく利用してもらえるようになったのです。

 

営業強化活動の対象路線数はまだ少なかったにも関わらず、3年間の営業活動の末、十勝バス全体で利用者数が前年比プラス0.5%となりました。

これまでの40年間、利用者数が減り続けていたバス会社がついに利用者数増加に転換したのです。

 

 

▼大きな目標達成のためには、小さく始めて小さな成功体験を積み重ねる

 

井上:実直にバスを利用しない理由を聞いて回り、お客さまの真のニーズを探ることは、簡単そうに思えますが、実際にやってみるとそう簡単にはいかないのかもしれません。

奇跡的な復活を果たした背景には、何か特別な秘策があったのだと思っていましたが、手法自体はとてもシンプルでアナログだったのですね。

 

野村:特別なことは何もしていません。

実直に、シンプルに、非顧客の声を拾いあげて問題を見極め、解決を目指しただけです。

ポイントは、非顧客に顧客でない理由を徹底的に聞き、不安を解消する施策を実行するということです。

そのことが身に付くと、失敗が失敗でなくなります。

うまくいかなかった理由を直接その相手に聞くことで、次に何をしたらいいのかが分かるようになるのです。

そのサイクルをまわしていくと、うまくいかないままにしておくことがありません。

うまくいかなかった要因を潰すことが可能になるのです。

 

ひとつ秘訣があるとするなら、小さく始めるということです。

組織で取り組んでいることですので、大切なのは、社員たちが成功のイメージを持てるかどうかです。

小さく始めると、小さな成功体験をたくさん積み重ねることができます。

大きく始めると、負担が大きくなり、困難さのイメージが先行してしまい、成功イメージを持ちにくいこともあります。

小さな施策の積み重ね、小さな成功の積み重ねがあるからこそ、大きな目標を成し遂げることができるのです。

 

大きな目標の達成を目指すなら、最初の小さな一歩をどこに踏み出すかが肝心です。

無駄をできるだけ省き、本質は何かを見極め、できるだけ小さなアクションに分解してから取り組むことです。

本質に迫っていることであれば、きっとうまくいきます。

その後は結果が出たことを水平展開、垂直展開し広げていくのです。

どうしてもうまくいかなかったとしても、小さく始めていれば、すぐに撤退し軌道修正もできますよ。

 

 

▼地域のメディアに取り上げてもらうことから話題作りを始める

 

井上:十勝バスが成し遂げた全国で初めてとなるバス会社の復活劇は多数のメディアに取り上げられ、話題になりました。

自社の取り組みや商品をマスコミに取り上げてもらいたいと考えている会社はとても多いと思います。

マスコミに取り上げてもらうためには、どのようなことに心がけたらよいのでしょうか。

 

野村:いきなり全国放送や全国紙、全国版の雑誌に取り上げてもらうのは難しいので、地域の新聞などで取り上げてもらうところから始めるべきです。

まずは、地域の記者に何度も記事を書いてもらい、足元を固めましょう。

地方とはいっても、新聞に書かれていることには信頼があります。

「地域で一番」「地域で初めて」などの強みがあれば、そこから全国のマスコミへとつながる道が拓けます。

十勝バスの場合は、バス会社が地域の皆さまの自宅を訪問してまわっていることにニュース性がありました。誰もしていなかったことですから。

 

信憑性のあるメディアで紹介されていることで、お客さまや社会全体からの信頼度は格段に高まります。

周りからの目が変わると、社員のモチベーションがアップし、会社の躍進力となります。

 

 

 

◯対談を終えて

話を聞いていて、自分の会社の商品やサービスであっても、お客さまからの視点が抜けているせいで、強みを的確に把握できていないことが多いのではと思いました。

提供する側の思い込みのせいで、お客さまが本当は何を求めているかを無視していることが多々ありそうです。

「どうして利用してくれないのか?」を聞く勇気を持ち、お客さま目線からの改善が重要なのだと気付かされました。

【聞き手:井上敬一、文:牧田真富果】

 

 

 

ITmedia エグゼクティブより

0

地域産品、観光市場拡大へ

投稿者:

安倍晋三総理は5日の年頭記者会見で「日本のどの地方に行っても魅力的な資源が必ずある。そうした各地域特有の産品や観光資源を全国の人に、世界の人たちに知ってもらい、市場を拡大するための後押しを徹底して行っていきたい。地方資源の掘り起こしは中山間地域にも仕事を生み出していく」と述べ、ふるさと名物の開発、販路開拓を推進するために必要な法案を次期通常国会に提出するとした。

 

 

 

また「どの地域に住んでいても豊かで安心して生活できる環境を整えていくことが重要」と述べ「人口減少に直面している中山間地域では、小さいながらも充 実した拠点を整備していく」とし「医療や介護や福祉、買い物、物流といった生活サービスを一定のエリアに集めていくということ、地域の絆の中で文化、スポーツ、生涯学習活動など地域の実情に応じたコミュニティーの拠点としての機能も強化していく」考えを語った。

 

安倍総理は「霞が関でいろいろなことを決めていくということではなく、あくまでも地方が自ら考え、行動し、変革を起こしていくこと。地方の発意に基づく 取り組みをして、国も予算や人材等あらゆる方策を使って応援をしていく。その中において各地方が知恵を競い合い、地方創生を加速して頂くということ」と自 主性に期待した。

 

また「地域の実態は大都市と異なり、やる気とアイデアがあっても事務負担など、国家戦略特区実現のハードルが高いのが実情」とも述べ、これをサポートするため「例えば事業計画作成のための申請書類や必要な会議の徹底した簡素化に取り組んでいく。また自治体の首長の思いと事業者と規制改革とをつなぎ合わせて、事業化に向けた国との調整事務を担う専門人材を派遣していく」など人的支援も含め国として全面的に支えていく考えを強調した。

【森高龍二】

 

 

 

エコノミックニュースより

0