下水汚泥の乾燥システム

 

関西電力が下水処理場の運営コスト低減に挑んでいる。

 

処理工程で出る汚泥を乾燥できる省エネルギー型システムを乾燥装置製造の大川原製作所(静岡県吉田町)と共同で開発。

 

このほど神奈川県秦野市と実証実験に乗り出した。

処理コスト高に悩む中小規模の下水処理場の需要開拓を目指す。

 

 

 

神奈川県秦野市の下水処理場「秦野市浄水管理センター」。

下水汚泥を乾燥して量を減らす新システムの実証事業が7月から進められている。

 

「効率よく汚泥を乾燥できるようになる」。

関電のエネルギー利用技術研究室、菅野啓治主任研究員は自信を見せる。

 

特徴は、産業用の汚泥乾燥システムで初めて、熱エネルギーを有効に使える「ヒートポンプ」の技術を採用したことだ。

 

新システムは、乾燥整備や圧縮機、熱交換器などで構成されている。

乾燥設備から出た蒸気の熱を再利用するなどし、セ氏160度の高圧蒸気を循環させて乾燥する。

 

蒸気を循環させる機器には、圧縮機だけでなく送風機を組み合わせることで、効率を高めた。

臭気を含んだ排気を抑えられる構造になっているのも利点だ。

環境負荷も低減でき、二酸化炭素の排出量は約4割減らせるという。

 

関電が新システムで狙うのは、1日の排水処理量が5千~5万立方メートルの中小規模の下水処理場だ。

全国に2万2,000カ所ある下水処理場の約4分の1を占める。

 

通常、下水処理場では、汚泥を乾燥させ、産業廃棄物として処理する。

 

秦野市浄水管理センターの排水処理量は1日4万7千立方メートル。

処理する汚泥は年間9,600トンにものぼる。

大規模な下水処理場は施設内に焼却炉を持つことが多いが、中小規模の下水処理場の多くは産業廃棄物処理業者に委託している。

秦野市も処理業者を通じて廃棄しており、年2億円程度のコストが悩みのたねとなっていた。

 

新システムを使えば、汚泥に7割程度含まれている水分を2割程度まで乾燥し、軽くできる。

産廃として処理する場合、委託費は重量に基づくため、軽くなればなるほどコストが抑えらる。

 

同センターにはこれまで乾燥設備が導入されていなかったため、新システム導入で電気代などエネルギーコストは上がる。

ただ、産廃処理のための費用低減を考慮すると、トータルでの運営コストは従来の3分の2程度に抑えられるという。

 

設備は来年2月初旬ごろまでに工事を終えて稼働し、2017年度中に効果を確認する。

実証事業には最大で5億円を投じ、汚泥を肥料として再利用する研究も進める。

 

実証実験は大川原製作所が持ちかけた。

秦野市側は、コスト高を解消したい思いはありながらも、初めての乾燥設備の導入に「新技術をきちんと運用できるのか」(上下水道局下水道施設課)と当初は慎重姿勢だった。

 

だが、下水事業は公共事業のなかでも費用負担が大きい分野だ。

最終的には「長期的に下水道料金の値下げにつなげられるかもしれない」(同)と判断し、応じた。

 

関電は2011年から大川原製作所とシステム開発で協力している。

もともと下水処理施設向けを想定したわけではなく、乾燥技術の一環として共同開発を始めた。

菅野氏は「ミカンジュースの工場で絞りかすのような廃棄液を乾燥させることもできるはず」と述べ、新たな用途にも期待している。

【西岡杏】

 

 

 

日経産業新聞より

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