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2012年03月01日

三方一両損(さんぽう いちりょうぞん)

以前のブログでも一度『大岡裁き』の内容をご紹介

した事が御座いますが、覚えていらっしゃいますか?

↓↓↓覚えていなければこちらをどうぞ↓↓↓
http://www.trims.co.jp/staff/2011/03/post_627.html
1840(天保11)年のこの日に遠山の金さんで

お馴染みの遠山左衛門尉景元が北町奉行に任命され

た日を記念して3月2日は【遠山さんの日】だそう

です。

という事で第二弾!!!
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『三方一両損』というお話をご紹介しましょう!

昔、江戸の町に左官屋の伝助(でんすけ)と言う男

が住んでいました。

ある年の暮れ、仕事の帰りに道で財布を拾いました。

中を調べると、一両小判が三枚入っていました。

『もうじき正月が来るというのに、三両(今のお金

で約21万円』もの大金をを落とすなんて気の毒に。

落とした人は、さぞ困っているだろうな』

と思いながら財布をよく調べてみると、名前と住所

を書いた紙が入っていました。

そこに書かれていたのは神田の大工の吉五郎という

名前・・・。よし!届けてやろう!!』という事で

財布を届けに行きました。

ようやく吉五郎の家を探し出し尋ねてみると、間違

いなく持ちが吉五郎であることがわかり、財布を返

そうとすると・・・。

吉五郎が言いました。『もう落としたものは俺の物

ではない!あんたが貰ってくれ』というのです。

それを聞いた伝助は、『何だって!』とムッとしま

した。『何て事を言うんだ!せっかく届けたのに!

黙って自分の物にするくらいなら、わざわざ探しな

がらこんなところまで届けに来たりするもんか!』

素直に『ありがとうございます』と言って、受け取

ればいいじゃないか!』

それを聞いた吉五郎は『ちえっ!お前さんも強情っ

ぱりだなあ。おれは、その財布はお前さんにくれて

やるって言ってるんだ!そっちこそ素直に『ありが

とうございます』と言って、さっさと持って帰りゃ

あいいじゃないか。。。。。


このままお互いの言い分が食い違い口論となってし

まったのです。

二人の頑固者は、とうとう取っ組み合いのけんかを

始めました。

その騒ぎを聞いてやって来た近所の人たちが2人を

なだめても聞き入れません。

近所の人たちは困り果てて、とうとう名奉行と言わ

れている大岡越前に裁きをお願いしたのです。

越前守(えちぜんのかみ)は、二人の話を聞くと、

『吉五郎。せっかく伝助が届けてくれたのだ。素直

に礼を言って、受け取ったらどうじゃ?』

『とんでもありません、お奉行さま。落とした物は

無くしたのと同じでございます。ですからもう、私

の物ではありません』

『では、左官、伝助。吉五郎がいらないと言うのだ。

この三両は拾ったお前の物だ。受け取るが良いぞ』

『冗談じゃありません、お奉行さま。拾った物をも

らうくらいなら、何もこの忙しい年の暮れに、わざ

わざ神田まで届けに行ったりなどしやしません。

落とした物は落とした人に返すのが当たり前です』

二人とも、頑固に言い張って聞きません。。。

すると大岡越前は『そうか。お前たちがどちらもい

らないというなら、持ち主がない物として、この越

前(えちぜん)がもらっておこう』
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吉五郎「へっ?」

伝助「へっ?」

大岡越前の一言に、二人はビックリしましたが、で

も、いらないと言ったのですから、仕方がありませ

ん。

『はい。それで結構です』と二人は答えました。

そう答えて帰ろうとしたところ、越前は『吉五郎、

伝助、しばらく待て』と二人を呼び止めたのです。

『お前たちの正直なのには、わしもすっかり感心し

た!!その正直に対して、越前から褒美(ほうび)

をつかわそう!』といって、越前は自分のふとこ

ろから一両の小判を取り出すと、財布の中の三両と

合わせて四両にし、吉五郎と伝助に二両ずつやりま

した。
 
ところが二人とも、なぜ二両ずつ褒美をもらったの

か、訳の分からない表情を浮かべていたそうです。

すると越前は、笑いながら言いました。

『大工の吉五郎は、三両を落として二両の褒美をも

らったから、差し引き一両の損。』

『左官の伝助は、三両を拾ったのに落とし主に届け

て、二両の褒美をもらったから、これもやはり一両

の損。』

『この越前もふところから一両を足したから、一両

の損。これで【三方 一両損】と言うのは、どうじ

ゃ?』『なるほど!!!』
 
吉五郎と伝助は顔を見合わせて、ニッコリしました。

『さすが名奉行の大岡さま。見事なお裁き、おそれ

いりました!」

『このお金は、ありがたくいただいてまいります』

『うむ。二人とも珍しいほどの正直者たちじゃ、こ

れからのちは友だちとなって、仲良く付き合ってい

くがよいぞ』

『はい。ありがとうございます』
 
吉五郎と伝助は、ここに来た時とはまるで反対に、

仲良しの様に肩を並べて帰って行きました

『これにて、一件落着!!!!!』

やっぱ さすがですね~!!!!!