« 通天閣の広告塔消灯(日立製作所) | メイン | 東京タワーも夜景に溶け込む「ライトダウンキャンペーン」 »

2007年06月23日

フェロシルト不法投棄、25日に津地裁で判決(石原産業)

化学メーカー、石原産業(大阪市、田村藤夫社長)の土壌埋め戻し材「フェロシルト」の不法投棄事件で、廃棄物処理法違反(不法投棄)の罪に問われた同社四日市工場の元副工場長、佐藤驍(たけし)(69)と元環境保安部長、宮崎俊(たかし)(59)の両被告、法人としての同社に対する判決が25日午後1時半、津地裁で言い渡される。

リサイクルの名の下、産業廃棄物を4府県37カ所・70万㌧以上も不法投棄した“企業の犯罪”に、司法がどのような判断を下すかが注目される。

石原産業は自動車の白色塗料、歯磨き粉などに使われる酸化チタンが主力商品。
その製造過程では廃硫酸が大量に発生する。
同社は、従来は産廃として有償で処理していた廃硫酸を土状に固め、土壌埋め戻し材にリサイクルした形で1999年からフェロシルトの生産を開始、2004年までに72万㌧以上を売った。

しかし「産廃は産廃でしかない」(同社社員)。
各地で埋め立てられたフェロシルトからは有害物質の六価クロムが検出された。
同社はフェロシルトの不法投棄で不正に約40億円の処理費削減を果たしたとされるが、その代償として周辺住民に大きな不安を与えた。

津地検は佐藤被告に3年、宮崎被告に1年6月を求刑。
両罰規定で起訴した法人としての同社にも罰金5,000万円を求刑している。
公判の最大の争点は、事件が会社ぐるみかどうかだった。
佐藤被告は、公判で「(自分が)中心的な働きをしたのは事実」としながらも「フェロシルトから有害物質が検出されたのを上(層部)が知らなかったとは考えられない。
当時工場長だった田村社長が佐藤単独だと言っているのは理解しかねる」などと主張した。

一方、同社幹部は「2005年に岐阜県が行ったサンプル分析で六価クロムが出たと聞き、想定しないことで驚いた」などと、有害物質の認識はなかったと主張し続けた。
物証がなく上層部の立件が見送られた経緯もあり、この点は灰色のままとなりそうだ。

判決が出ても事件の余波が消えるわけではない。
撤去の遅れのほか、今年5~6月には愛知県小牧市と春日井市で新たにフェロシルトが不法投棄された場所が発覚。
小牧分について同社は3月に把握していながら同県への報告が遅れるなど、新たな不信を招いた。

同社が法廷で企業の社会的責任を問われるのは今回が初めてではない。
大気汚染の原因を作ったとして四日市公害訴訟の被告企業になり、1972年の津地裁四日市支部判決では損害賠償金(6社で8,821万円)の支払いを求められた。
また廃硫酸を伊勢湾に垂れ流したとして四日市海上保安部に摘発され、1980年に同社工場幹部らが津地裁で有罪判決を受けた。
今回の判決が、過去の教訓を生かさずに利益を追求し続けた企業の責任について、どの程度触れるのかも焦点の一つとなりそうだ。

毎日新聞より

投稿者 trim : 2007年06月23日 13:19