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2007年10月06日

讃岐うどんに「逆風」 小麦値上げに排水問題

コシの強さとともに1杯200円前後という安値が魅力で、一大ブームとなった讃岐うどんに値上げという「逆風」が吹いている。

背景にあるのは原料の輸入小麦の高騰。
10月からは再値上げも実施され、地元・香川では「値上げに踏み切る店が続出するのでは」という声も。
さらにブームの副産物として「ゆで汁」の大量排水という“環境問題”も持ち上がっている。
関係者は「せっかくのブームに水を差さなければよいが」と心配顔だ。

「めん1袋あたり15円前後の値上げを申し出たら、5社あった納入先のうち2社から取引を打ち切られた。売り上げは2割も落ち込んだんです」。
7月に一部メニューを30円値上げした高松市栗林町の上原製麺所の上原正則社長(59)が苦しい実情を明かす。

うどんの値上げの大きな要因は、原材料となる小麦粉の高騰。
主産地のオーストラリアが記録的な干魃(かんばつ)に見舞われたことが原因だ。

讃岐うどんは「豪州産・スタンダード・ホワイト」という品種が原料の約85%を占める。
同種の政府売り渡し価格は、4月に5%値上げされたばかりだったが、農水省は今月、国際相場の値上がりを踏まえ、来年3月まで10%の値上げ実施に踏み切った。

高松市内のうどん店社長(58)も「約30年うどん店を経営しているが、これほどの値上がりは経験がない」と影響を深刻に受け止めており、他店の動向をみながら今後、値上げを検討しているという。

うどん店93業者が加盟する「さぬきうどん協同組合」によると、9月末までに20~30円の値上げをしたのは16店。
同組合の大峯茂樹理事長(58)は「11月には、品質を維持しようとほとんどの製麺所やうどん店が値上げに踏み切るのではないか」とみる。


もう一つの問題は、でんぷんが多く含まれるゆで汁の大量排水だ。

香川県内には約900のうどん店があるといわれるが、ほとんどは1日の排水量が50㌧未満の小規模店。
大規模店に排水処理を義務づけた水質汚濁法などの規制を受けないため、用水路にゆで汁が流れ込むケースも多い。

うどんの生産量は「讃岐うどんブーム」にわいた平成15年には昭和50年代半ばの4倍近くまで増加。
そのころから排水への苦情も目立つようになったという。

このため県では、排水処理施設設置の義務化など小規模店の排水対策を盛り込んだ新たな条例制定を検討。
しかし、条例が施行されれば、小規模店は200万~300万円程度の施設設置費が必要になり、小麦の高騰と同じく経営を圧迫しかねない。

かけうどん1杯100円の同県綾川町の「山越うどん」の山越芳信社長(66)は「コスト増で値上げもやむを得ないかもしれないが、できるだけ今の価格を続けたい」と話すが、讃岐うどんに対する逆風は強まるばかりだ。

讃岐うどんのガイドブックの著者で、ブームの「仕掛け人」といわれる四国学院大社会学部の田尾和俊教授(51)は「讃岐うどんはもともと安すぎるくらい安い。数十円の値上げがあってもファンは集まるのでは」と話している。

産経新聞より

投稿者 trim : 2007年10月06日 14:39