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2007年10月12日

温室効果ガス 削減目標上積み 計画義務化に産業界恨み節

11日開かれた合同会合で、13業界が年1,300万㌧の温室効果ガス削減目標を上積みしたことで、経済産業省は産業部門の削減目標達成に自信を深めている。

「削減余力は少ない」と主張してきた産業界だが、政府による排出規制を回避するには、上積みに応じざるを得なかった。
ただ、「自主的な取り組み」としながらも、計画が“義務”となることに変わりはなく、産業界は厳しい対応を迫られる。

「(産業界に自主行動目標)引き上げを働きかけてきたことは事実だ。そういった動きが出ることは喜ばしい」。
経産省の北畑隆生事務次官は11日の記者会見で、産業界が追加削減に踏みきったことに満足感を示した。

京都議定書が定める温室効果ガスの削減目標達成が厳しくなるなかで、産業部門だけは着実に排出量を減らしてきた。
さらに経産省は自らが所管する業界に追加削減を打ち出させることで、取り組みが遅れているのは家庭部門であることを際だたせ、環境省に対して優位に立ちたいとの思惑があった。

このため、経産省は所管業界に対して、国が企業の排出枠を設けて過不足分を売買する「キャップ・アンド・トレード」という方式の導入をちらつかせながら上積みを要請。
「現行計画の達成が極めて難しい状況」(電気事業連合会)という電力業界に対しても「当初定めた自主行動計画の確実な達成に向けて取り組んでほしい」と迫り、化学、製紙業界などからは大幅な追加削減を引き出した。

日本化学工業協会の幹部は11日、「かなりの省エネをやり尽くした現在、悪くなる要因の方が多い」と当惑を隠さなかった。
産業部門の二酸化炭素(CO2)排出量の約15%を占める化学業界は、一定の経済活動に要するエネルギー消費量をあらわすエネルギー原単位の削減目標を10%から20%に引き上げた。

昨年、18%の削減を達成した化学業界にとって20%削減は一見、容易とも映る。
だが、中小など4割の企業は、当初目標の10%削減も達成できていないのが実情だ。

同じく目標を3.8%に引き上げたセメント協会は「3%程度としていた従来目標をはっきりさせただけ」(幹部)としているが、11日の審議会では「不退転の決意で推進してまいりたい」と語り、実現が容易でないことをうかがわせる。
柏崎刈羽原発は復旧のめどがたたない電力業界にとってのハードルも依然高い。

この日の合同会合で「家庭部門や業務ビルなどでの排出が増えており、産業界の努力を食いつぶしている」との意見が出されたように、産業界からは「攻めやすいところを攻めている」との恨み節も聞こえてくる。

産経新聞より

投稿者 trim : 2007年10月12日 11:24