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2008年12月09日

環境技術、実証実験で協議会

環境省は、先進的環境技術を第三者機関が客観的に実証する「環境技術実証事業」について、各運営機関のノウハウなどを共有する「実証運営協議会」を16日に開催し、マネジメント情報を共有化する取り組みに着手する。

運営機関は、環境省に代わって実証事業のマネジメントを担当する公益法人とNPO(民間非営利団体)が務め、毎年公募で選定される。

今年度の運営機関は日本環境衛生センター、建材試験センター、日本水環境学会、NPO法人(特定非営利活動法人)「山のECHO」の4団体が担当。実証運営協議会は年に2、3回定期的に開催する予定だ。

同協議会は、申請者を獲得する公募方法や実証実験中のトラブル対応などの運営ノウハウについて、運営機関同士で情報交換する。

昨年度は顔合わせを兼ねて試験的に1回開催したが、今年度の各ワーキンググループ(WG)の実証実験が始まったことから、本格的に組織化することにした。


将来は、運営ノウハウの共有化だけでなく、個別技術ごとのWGでそれぞれ行っている実証実験の要素技術や新技術同士をマッチングさせ、より実用性の高い環境保全技術の開発につなげる考えだ。

同事業は、2003年度からスタート。
参加企業、実証機関、運営機関とも、毎年公募される。実用化されているものの環境保全効果について客観的な実証データが公開されていないため、地方自治体や企業などが採用しにくい、埋もれた先進的環境技術は多い。

ベンチャー企業などが開発したこうした新技術について、第三者機関が実証試験を実施し、データを環境省のホームページで公開することで、新技術採用の機会を提供することになる。

2007年度までは「環境技術実証モデル事業」として環境省が中心になって実証実験を行ってきた。
今年度から、環境省は補助金などで支援をするものの、運営は公益法人やNPOにまかせる形にし、環境技術実証事業として衣替えした。

事業の対象はニッチ分野が中心。
例えば、大企業には排水浄化が義務づけられているが、街の小規模飲食店には排水浄化義務はない。
こうした中小零細企業でも活用できる環境技術を主体に実証実験を行う。

今年度は
(1)小規模事業場向け有機排水処理
(2)湖沼等水質浄化
(3)山岳トイレの屎尿(しにょう)処理
(4)中小企業向けVOC(揮発性有機物)処理
(5)ヒートアイランド対策
(6)閉鎖性海域における水環境改善(新規)
――の6分野を対象とした。

応募する企業は、大企業の新規事業部門もあるが、環境関連のベンチャー企業が多い。
バイオチップを使用した山岳トイレでの屎尿処理など話題になった技術もある。

開発者もユーザーも中小企業で、試験機関としては都道府県の試験機関が多く参加している。


                   ◇


環境省が実施している「環境技術実証事業」は、中小零細企業でも活用できる草の根からの環境技術の普及を目指すものだ。
またベンチャー企業が対象であることから産業育成にもつながる。
実証された技術には環境技術実証ロゴマークの「ETV」マークが付けられる。

マークが付いた技術は、実証試験データが公開されていることを意味する。
環境保全性能の目安になるが、それが環境保全性能の最高水準を意味するものではない。
現状は科学的データを公開することで「ユーザーが採用する際の参考にしてほしい」(環境省)という段階だが、環境保全性能のレベルについても分かるようなデータ公開方法が今後の課題となりそうだ。

こうした活動は海外でも盛んで、毎年国際フォーラムが開催されている。
米国、カナダ、EU(欧州連合)、韓国などのほか、バングラデシュなど途上国も参加している。
中小企業が導入しやすい低廉で簡易な環境技術は途上国も導入しやすい。

こうした国際フォーラムでも日本の環境技術実証事業に対する途上国の関心は高いといわれるだけに、今後は、途上国への環境技術支援に同事業を活用する機会も増えそうだ。


フジサンケイ ビジネスアイより

投稿者 trim : 2008年12月09日 10:25