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2009年03月14日

エコカー宅配便 異なる対応

宅配業界大手が地球温暖化対策として、二酸化炭素(CO2)排出量の少ない環境配慮型自動車の導入を進めている。

天然ガス車やハイブリッド車などの「エコカー」で、業界のイメージ改善にも役立てたい考えだ。
ただ、インフラ整備などの課題もあり、各社ごとに対応が異なっているのが実情だ。


佐川急便は、ディーゼル車に比べてCO2排出量が2割程度少ない天然ガス車を2012年度までに現状の7割増となる7,000台配備する計画。

「ディーゼル車の排ガスに含まれる粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)などの有害物質もほとんど排出しない」ことから、温暖化対策と大気汚染防止の両面からそのメリットを強調する。

同社では1997年から導入を始め、現在、民間企業として国内最多の4,244台を保有している。

半面、課題となっているのが、天然ガスを充填(じゅうてん)できる施設の少なさだ。

このため同社では自前の天然ガス充填スタンドを全国の23営業所に設置し、自らインフラ整備を進めている。今年2月には東京や大阪のほか、高松や広島など地方都市にも新設した。


これに対し、ディーゼルエンジンと電気モーターを併用することでCO2の排出量を抑えるハイブリッド車の導入で先行するのが、ヤマト運輸。

3月中には、ハイブリッド車の累積導入台数が前年度末比9割増の4,690台に達する見通しだ。
これは同社が現在保有する全車両約4万5,000台の1割強にも相当する。
同社では天然ガス車も導入しているが、「インフラ整備など課題が多い」とし、ハイブリッド車の導入を優先する。

また配達距離の短い市街地や住宅地では、低燃費の軽自動車やリヤカー付き電動自転車を活用して集配効率を高めるなどの対策も講じている。

一方、環境配慮車の取り組みで、これら2社の中間に位置するのが日本通運。

天然ガス車とハイブリッド車のバランスをとりながら導入を進めている。

ハイブリッド車にも、現状では大型化が難しいという課題がある。
通常の大型トラックなら10㌧程度の荷物を積むことができるが、ハイブリッド車の場合は電気モーターの制約から「3㌧程度が限度」。
「現時点でどちらかに絞るのはリスクが高い」と説明する。


宅配業界における環境配慮車の導入は、業界のイメージ改善に加え、日本全体の温室効果ガス排出削減対策にとっても重要だ。

国別の温室効果ガス排出削減義務を定めた京都議定書で、日本は2008~12年の平均排出量を1990年比で6%削減することを公約している。

日本の温室効果ガス排出量の部門別内訳は、自動車や船舶などの運輸部門が20%を占め、産業部門に次いで2番目に多い。

また排出量も運輸部門の場合、2005年度では1990年度比18.1%増と大幅に増えており、その対策は全体の削減計画にも大きな影響を及ぼす。

かつては黒煙をまき散らしながら走るトラックなど、マイナスイメージの強かった陸運業界だが、それだけに温暖化対策も含めた環境対応は同業界の優先課題となっている。

ヤマト運輸が2010年度に2002年度比99%減のCO2排出削減目標を掲げるなど、温暖化対策に積極的に取り組んでいるのもこのためだ。

宅配業界における環境配慮車導入の特徴は、天然ガス車やハイブリッド車、LPG(液化天然ガス)車などが併存していること。
天然ガス車はガス充填設備などインフラの整った大都市圏を主力にし、またハイブリッド車は地方を中心に使用するなど、地域性や荷物の多寡など用途に応じて使い分けが進むことになりそうだ。


フジサンケイ ビジネスアイより

投稿者 trim : 2009年03月14日 13:22