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2009年03月18日

製鋼スラグで良質の藻場

川崎臨海部の海で、製鉄所から排出される製鋼スラグで良質の藻場をつくり、ワカメなどを大きく育てて二酸化炭素(CO2)削減につなげる実証実験が今夏から始まる。

スラグから染み出す鉄分などのミネラルは海藻類の生育量を2~3倍に増やすとされ、いわば”海の森づくり”が大気から海水に溶け込むCO2をどこまで削減できるか―。

川崎市や企業、研究機関が連携し、地球温暖化防止策の観点からその効果を国内で初めて調べる。

川崎市と実験を管轄する環境コンサルタント会社「いであ」が17日発表した。
実験には東京大学、東京農業大学、横浜薬科大学の研究者と、JFEスチールなどの企業、水産総合研究センターなど国の各研究機関十二団体が参加。
CO2削減の実証のほか、育てたワカメを刈り取り発酵時に発生するメタンガスをバイオマス燃料として取り出す実験も手がける。

こうした産官学の連携や実現性の高さが評価され、経済産業省の「低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会システム実証モデル事業」にこのほど採択された。
実験費用約1億3,000万円は国が補助。
2009年度中に報告書をまとめる。

実験では、東扇島東公園内の人工海浜や池、浅野運河、京浜運河の四カ所に設置する囲いの中に藻場を造成。
川崎港の浚渫(しゅんせつ)土と、光合成に不可欠な鉄分を含むスラグを混ぜた混合材を使った藻場と、一般の天然の砂を使った藻場の二種類で比較対照し、最適な混合割合や経済性などを探る。
大規模にワカメなど海藻類を生育することで”海の森”が、どの程度、海中のCO2を吸収、削減できるか測定する。

製鉄所から発生する製鋼スラグは現在99%が路盤材などとしてリサイクルされているが、鉄鋼業界でもCO2削減に寄与するため藻場づくりなどの活用の道を探ってきた。
ごく小規模な実験では、スラグを使うことで海草類の生育量が2~3倍になることが確かめられており、「大規模実験による実用化への期待は大きい」(川崎市)。

育ったワカメについては東京ガスがバイオマス燃料化を実験。
香川県水産試験場も参加しており、瀬戸内海で色落ちが目立つノリの養殖などにスラグ混合の藻場が活用できないかを探る。
阿部孝夫市長は「実用化できればアジア諸国も関心を寄せるだろう」と話している。


神奈川新聞より

投稿者 trim : 2009年03月18日 15:51