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2009年04月15日

雨水タンクなどを常備

一般のサラリーマンにも手が届く環境志向の分譲住宅地が広島県東広島市に誕生した。

大和ハウス工業が手掛ける「エコ・ノイエ西高屋」だ。
175戸の計画で昨春から区画整備をはじめ、これまでに40戸が完成。

太陽光発電装置を搭載した家もあるが、多くは雨水タンクや生ごみ処理機などを常備して「身近なエコ」を実感できるのが特徴となっている。


この分譲住宅地は元はマツダの社宅用地だった。
大和ハウスが2007年末に土地を購入。
JR西高屋駅まで徒歩13分という立地で、広島市内への通勤圏にある。
小・中学校や近畿大学、病院にもほど近い。
学習塾も徒歩15分圏内に10カ所あり、広島県内でも有数の教育熱心な地域だ。


西高屋地区の新築住宅の供給は年間約30戸程度で推移してきた。

そんな場所で175戸を販売するには「何らかの特徴が欠かせない」(大和ハウス工業広島東支店の豊田謙一店長)。
そこで考えたキーワードが「環境」だった。

ひとくちに環境といっても、200万円以上もする太陽光発電装置などを取り付けると、住宅販売価格は当然割高となる。
「設備を充実させて高級物件にするならどこでもできる」(豊田店長)。
できるだけ割安にする工夫のひとつとして、太陽光発電装置は選択制にし「安くエコができる住宅」を目指したという。
販売価格は2,900万~3,500万円に設定した。

例えば雨水タンク。
雨水を庭先でためて、草木への散水用に使う。

生ごみ処理機と、処理したごみを堆肥にするコンポストも備えた。
緑地面積も広くとり、落ち葉をコンポストに入れて庭で使う肥料にすることもできる。

標準仕様にしたヒートポンプ式給湯器の「エコキュート」やオール電化設備、省エネエアコンなどは大量購入することで調達コストを抑えた。

住宅購入の相談の際は顧客ごとに光熱費の試算をしている。

例えばオール電化や外壁の断熱性能などを加味すれば、4人家族が住む約120平方㍍の住宅で、光熱費が一般住宅の半分以下になることもあるといった具合だ。


「街づくりガイドライン」にもこだわった。

地域の統一感を出すため、車庫の位置やポストのデザイン、一定以上の緑化などを徹底。
「植木は最低3本、このうち1本は実のなる木を植えて」と細かく指定している。

環境意識の高い30代を中心に、人気は上々だ。
モデルルームを開いた2月7、8日の2日間で、予想の倍近い380組、1,000人が訪れた。

「『モデルルームを見に来た』というより、『ここに住みたい』という顧客が多かった」(豊田店長)。
持ち家から住み替えた50~60代もいた。
「建物だけでなく、街としての環境が評価されたのでは」と、大和ハウスでは分析する。

発売から2カ月間で計画通りの36戸が売れた。
大和ハウスでは2年半後までの完売を予定する。
エコ・ノイエ西高屋は単に光熱費が安くなるだけでなく、家庭ごとに環境に配慮した暮らしができることが街の独自色でもある。
価格を抑えた環境配慮型の分譲住宅が今後広がるかの試金石にもなりそうだ。


日経産業新聞より

投稿者 trim : 2009年04月15日 14:24