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2010年07月19日

ビッグエコーでエコ!


家庭や飲食店などで、牛乳やジュースなどを飲み終わった後に残される大量の紙パック。

カラオケルーム「ビッグエコー」を展開する第一興商は、全国の店舗から排出された紙パックを集めてトイレットペーパーに生まれ変わらせ、もう一度店舗で使うという「循環型リサイクル」に力を入れている。

9月末までの期間 限定で、来店客が自宅から持ち込んだ紙パックを、カラオケ時のスナックやおつまみなどに交換できるキャンペーンも展開。
かつてはごみだった使用済み紙パックを企業イメージ向上の“武器”に変えている。


カラオケルームでは、来店客に提供するジュースなどは紙パックを用いるものが多い。
同社の場合、全国の254店舗から排出される使用済み紙パックの重量は年間約11㌧に上るが、循環型リサイクルにより全店舗のトイレットペーパーの年間使用量の16%に相当する再生紙原料を提供しているという。

店舗で中身を使い切った紙パックは、従業員が水ですすぎ、裁断して開いた上で乾燥させる。
それを物流会社が回収し、製紙工場に再生紙原料として搬入する。

製紙工場ではパルパーと呼ばれる装置を使って紙パックをふやかし、ポリエチレンやアルミ箔などの不純物を取り除いた後、抄紙機でジャンボロールと呼ばれる原紙をつくる。

トイレットペーパーの太さに巻き直され、幅をカットしパック詰めされてから自動で段ボールに荷造りされる。
そして再びビッグエコーの店舗に運ばれるという流れだ。
製紙会社の技術があって生まれた循環といえる。

第一興商の使用済み紙パックリサイクルは昨年11月にスタートしたが、今年4月からは来店客を巻き込んだ内容に発展した。
来店客が1㍑入りの使用済み紙パックをビッグエコーの店頭に持ち込むと、枚数(5~20枚)に応じてスナックやおつまみ、パスタ、ピザなどがもらえるキャンペーンを9月末までの期間限定で展開している。
全店舗のうち114の直営店で行っており、「月平均で100件の持ち込みがある」(陸川和資・営業推進課長)。
特に、昼間や土日の来店頻度が高い主婦層の反応がよく、主婦の集まりである“ママ会”の参加メンバーが数枚ずつ持参しあうことも少なくないという。

「お客さまと一緒にエコに取り組むという一体感」(小田切一央・店舗事業推進部副部長)が消費者に伝われば、カラオケ業界のイメージアップにつながり、経営にとってもプラスとなる。

リサイクルの取り組みは店舗だけにとどまらない。
東京都品川区にある同社本社でも、コピー紙などの紙ごみを細かく分別し、使用済み紙パックと一緒に回収した上で、店舗で使うトイレットペーパーに加工するための再生紙材料に充てている。
「今では現場だけでなく、本社も一体となって環境問題に取り組んでいる」と陸川課長。

同社は京都議定書が発効された2005年以降、環境対応を本格化させてきた。
フライドポテトなどを調理するときに出る月7,000㍑の廃油を集めて店舗用のハンドソープに加工・再生したり、来店客の残飯を家畜の飼料として再利用したりしている。
こうした地道な取り組みに、来店客からは「感心した」などと共感する声も増えているという。

「カラオケだからこそできる環境対策」が今後、同業他社にどう広がっていくか注目される。
【森田晶宏】


産経新聞より

投稿者 trim : 2010年07月19日 14:39