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2011年01月03日

芝生やドライミストを常設

関西電力グループが運営する環境配慮型駐車場「MID中之島パーキング」(大阪市北区)が昨年11月22日に本格営業を開始した。

関電本店東側の敷地に開設したこの駐車場は、駐車スペース全面に芝生を植えたり、ドライ型ミスト発生装置を導入するなど、ヒートアイランド対策技術の普及促進を図る拠点として活用。

さらに12月24日には電気自動車(EV)向け給電システムを設置するなど、“環境にやさしい駐車場”として注目を集めている。


MID中之島パーキングは、関電グループでビル開発などを手掛けるMID都市開発(同)が運営。
約2,200平方㍍の駐車スペースと約400平方㍍の植栽スペースで構成され、現在、1日平均約100台のクルマが利用している。

駐車場を含む大阪市北区の「中之島3丁目共同開発計画」エリアは、国が進める「クールシティ中枢街区パイロット事業」の対象になっている。

同事業は、ヒートアイランド現象の顕著な街区において、二酸化炭素(CO2)削減効果がある施設緑化や保水性建材、霧噴射装置、緑地など複数のヒートアイランド対策技術を組み合わせて一体的に実施する事業に対して資金を補助する。

MID中之島パーキングも補助対象で、約2,000万円の補助を受けている。
完成は22年3月を見込んでいたが、結局同年11月までずれ込んでしまう。
駐車スペースに敷き詰める芝生の養生に時間がかかったためだ。

多くのクルマの出入りに耐えるタフな芝生作りが求められたうえ、停車中のアイドリングにも対応しなければならない。
芝生は根本に弾力があり、タイヤで踏み倒されてもすぐに立ち上がる性質のものを使った。

ただ、駐車スペースの芝生化の効果は大きく、昨年7月下旬に駐車場の芝生と同駐車場の南にあるアスファルトの駐車場の表面温度を比べたところ、芝生のほうが12度以上も低いという結果が得られた。

関電の地域共生プロジェクトチームの前安幸マネジャーは「(22年)11月から本格的にクルマの出入りが始まったので、今後はアイドリングによる芝生への影響を分析し、最良な芝生の保全・管理法を模索しなければならない」という。

歩道との境界の壁面を緑化し、ドライミスト装置も設置されている。
ドライミスト装置は昨年夏に期間限定で運転したが、当日の風向によって細かいミストが歩道側に流れたり、駐車場側に流れたりした。
だが、歩道を歩くサラリーマンやOLなどには壁面の緑とあわせて評判は上々だったようだ。

さらに12月24日には、同じ関電グループで電力量計の製造・販売などを手掛けるエネゲート(同)がEV向け給電システム「エコQ電」を1基設置し、給電サービスを開始した。
エコQ電は、日本で初めてインターネットによる課金システムを搭載したEV向け給電スタンドで、携帯電話の操作によって簡単に充電・課金ができるのが特徴だ。

充電料金は1回1時間100円(駐車料金別)。
エネゲートの多山洋文社長は「1時間充電すれば約20㌔は走行できる。このシステムでEVの普及に努めていきたい」と意欲的だ。

低炭素社会の実現を目指し、関電は再生可能エネルギーの導入を推進している。
MID中之島パーキング運営で培ったノウハウは、グループが取り組むほかの環境対応事業にも生かせると期待している。
【香西広豊】

産経新聞より

投稿者 trim : 2011年01月03日 17:45