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2011年02月08日

不屈のシンボル

2009年2~7月に起きた大規模地滑りで8世帯中7世帯が移転を余儀なくされた山形県鶴岡市大網の七五三掛(しめかけ)集落で、約100本の桜を植える計画が持ち上がっている。

集落内で咲き続け「不屈のシンボル」となった、しだれ桜の苗木を市が育て、住民が植える場所などを決める。
廃村の危機をはらむ集落に、復興の希望が咲こうとしている。

しだれ桜は集落中心部にあり樹齢約50年。
春には、残雪を抱いた月山を背景にピンク色にもえたち、住民を喜ばせてきた。
地滑り後の昨春もしっかりと根を張り咲き誇った。


計画では、今春から苗木を育て2012年に植える。
植樹場所などは住民約30人ら土地所有者が主体となって決める。
12月の住民説明会で市側が提案、住民の一部には「管理が大変」という声もあったが、最終的には快諾した。
同市朝日庁舎農林課は「ほとんどの世帯が転出してしまった。桜を集落再生のきっかけにしたい」と話す。


雪解け水により約半年続いた地滑りで、集落の地面は約6㍍南へ移動し1㍍以上沈下。
家屋は傾き、道路には亀裂が縦横に走った。
大規模な地下水抜き取り工事などで沈静化。
田畑の整備も進み、今春からは耕作地10.2㌶のうち約8㌶で営農できるようになる。


住民が集落に戻る具体的な予定はまだないが「復旧整備が進み、いつでも戻れる環境整備ができてきた」と、集落を離れふもとの同市本郷で暮らす農業、内山大起さん(61)は喜ぶ。
「桜が集落のコミュニケーション復活の懸け橋になってくれれば、とてもうれしい」。
集落の至る所で桜が咲く未来の春を夢見る。
【佐藤伸】

毎日新聞より

投稿者 trim : 2011年02月08日 16:25