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2011年08月05日

“ゴミ発電”が電力不足を救う?


8月2日、電力の安定供給に産業界が不安を示すなか、東京都は東京湾に100万キロワット規模の天然ガス発電所設置を目指すプロジェクトチームの初会合を都庁で開いた。

今後、地盤や送電網などを総合的に考慮した上で候補地を選定していく。

猪瀬直樹副知事はこの取り組みについて、「電力供給が逼迫(ひっぱく)していくなかで、地産地消型のエネルギー体制を考えていく必要がある」と指摘する。

だが実は、東京都による独自の発電計画は今に始まったことではなかった。

それが「ゴミ発電」。

東京23区清掃一部事務組合の高橋雅彦氏はこう説明する。

「ゴミ発電とは、ゴミの焼却の際に出る熱でボイラーのお湯を沸かし、その蒸気でタービンを回して発電するシステムです。一般的には廃棄物発電と呼ばれ、地熱や風力、太陽光などと同じ石油代替エネルギーを利用した発電法の一種です」

すでに東京では、23区内にある20ヵ所すべての清掃工場にゴミ発電の設備が備えられており、その発電能力は合計で最大約25万キロワット。

これは中規模の火力発電所に匹敵する。
ただ、実際の発電量のうち約6割は施設内で使われるため、全体で見て45%程度が東京電力などに売られ、都民の元に届けられている。


ゴミ発電には様々なメリットがある。

財団法人エネルギー総合工学研究所発行の『新エネルギーの展望』によると、一番の利点はゴミをエネルギー資源とするため、石油などの化石燃料を節約できること。
ゴミに由来するもの以外の二酸化炭素の発生もない。
また、燃料となるゴミは毎日必ず発生するため、連続・安定した発電が可能だ。
しかも各都市に分散して立地している電源となるから、送電コストも抑えられる。

環境省の資料によると、全国の発電機を備えた焼却施設の数は、民間の50ヵ所を含め354ヵ所。
その発電能力規模は2009年度末の時点で約167万キロワットと、一般的な原子力発電所2基分に匹敵する。
ゴミ発電だけで、約200万世帯近くの電力をまかなえてしまう計算だ。
ただ、実際には不燃ゴミが混じるなどして発電効率が下がり、発電量はその半分程度になってしまうという。

「ゴミ発電の一番の課題は“効率”なんです。ゴミを燃やして出る熱量のうち17%程度を回収して電気にしているのがゴミ発電ですが、通常の火力発電所では40%程度、原子力発電なら33%程度は熱を回収できるんですね。蒸気の温度を高くして安定運転すればするほど効率はよくなるので、不燃ゴミや粗大ゴミなどの焼却不適物が搬入されて工場(発電)にトラブルが起きないようゴミの分別をしっかりお願いしたいと考えています」(高橋氏)

こうした石油代替エネルギーによる地産地消型の発電システムを支えていくためには、都民のひとりひとりがゴミの分別などで協力することが重要なのだ。
【米澤和幸】

週プレNEWSより

投稿者 trim : 2011年08月05日 18:52