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2011年09月24日

副産物、飼・肥料に再生

サトウキビの糖蜜を原料とするバイオエタノール燃料の製造過程で発生する「蒸留残渣(ざんさ)液」や「発酵残渣酵母」を付加価値の高い飼料や肥料として再生する取り組みが宮古島市で進められている。

りゅうせき(金城克也社長)は燃料製造工場を同市内に整備、こうした副産物を農作物や家畜へ試験的に活用し生育の効果を実証した。

バイオエタノールPJ推進室の奥島憲二室長は「糖蜜を発酵し生まれる副産物はミネラルエッセンスが濃縮されている。

研究レベルからステージアップした取り組みが動きだした。
地域資源の好循環に加え、牛、豚、鶏などのブランド化につながれば、利益を多くの農家に還元できる」と期待している。

りゅうせきは2004年度から「温暖化対策」や「エコ燃料実用化」に向けた実証事業を宮古島市で実施している。

通常1トンの糖蜜原料で約220~230リットルの無水エタノールが製造できるが、蒸留残渣液はこの約15倍もの量が出る。

バイオエタノールの事業化はコスト高もテーマで、副産物事業による複合的な成果も運営上、重要案件となっている。

これら課題解消に向け、2009年度に続き2010年5月~2010年8月にかけ、サトウキビ、ピーマン、葉タバコ、畜産、養鶏などの64農家に対し、蒸留残渣液86万1千リットル、発酵残渣酵母3万7千リットルを飼料や肥料用に無料提供した。

実験の結果、キビは粗糖ベースで通常の1.8倍の収量高となり、畜産や養豚では子牛、豚の下痢が著しく減少、ふん尿の刺激臭も減った。

出産後の母牛の体重回復は早まり、出産周期が安定した。

宮古島レース鳩愛好家の協力を得て、レースが盛んなベルギーの飼育家を対象に実験。
発酵残渣酵母を混ぜた飼料は回復の早さが顕著で、サプリメントとしての購入申し入れがあったという。
同社は来年1月の欧州での見本市に出展し、市場調査を行いながら、商品化に取り組む方針。

さらに実証事業で開発した酵母「MY17」については、酒造メーカーの多良川(宮古島市城辺)が酒類総合研究所と連携し、9月上旬から古酒用に醸造試験を始めた。

MY17は従来の泡盛酵母より3.3倍の香り成分が確認されており、新たな商品開発が注目される。

奥島室長は23日、「家畜の肉質など今後の検証課題はあるが、キビを原料にした有価物が、地域の基幹産業にとっても効果が期待できることが広く認知され始めている。県や市とも協力しながら、メーンのエタノール燃料製造の拡大を含め、新ビジネスの可能性を積極的に探っていきたい」と話した。
【外間崇】

琉球新報より

投稿者 trim : 2011年09月24日 21:52