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2012年03月16日

復興国立公園

ウミネコの営巣地として知られる、八戸市鮫町の蕪(かぶ)島。

約1.8ヘクタールの島に約3万羽が訪れるウミネコの楽園で、春先の八戸の観光地として大きな存在だ。

しかし、東日本大震災では、島内の神社や鳥居などの被害こそなかったものの、ふもとの公衆トイレが液状化で沈んだり、津波でがれきやヘドロが散乱するなど、ひどい有り様となった。

蕪嶋(かぶしま)神社宮司の野沢俊雄さん(61)は当時、内陸部の是川地区の保育園にいたため津波の様子はまったくわからなかった。
2日後、神社に戻る時は鳥居の倒壊も覚悟していたが、ほとんど無傷だった。
「不思議なことですが、前日までたくさんいたウミネコが震災直前には一羽もいなくなっていた」と振り返る。

大型連休に合わせて東北新幹線は復旧したが、観光客はすぐは戻らなかった。
野沢さんは「例年の8割ほどか。夏休みごろようやく戻ってきました」と話す。

環境省が構想する「三陸復興国立公園(仮称)」は青森、岩手、宮城の3県にわたる六つの国立、国定、県立公園を再編する、観光復興の起爆剤だ。
長距離遊歩道は延長約350キロにも及ぶ。
再編で急に物事が変わるわけではないが「国立公園」というインパクトはやはり大きい。

蕪島の整備を検討する市の委員も務めた野沢さんは「他の地域に比べ、復興のスピードが速い八戸を震災復興のモデルにしたい」と意気込む。
観光誘致の企画を練り、「八戸はいい素材がある。料理の仕方を工夫すればいい」と笑った。

天然芝生地で有名な種差海岸(八戸市、階上町)。
種差観光協会会長の柳沢卓美さん(63)も、国立公園構想を歓迎している。
「現在は休憩所もなく、雨が降れば観光客はバスで素通りするだけ」。
観光施設の整備などによって地元が潤うことも期待している。

一方で少し不安もある。
「昭和40~50年代のマイカーブームで、十分な駐車場もなく、道路も狭く、大渋滞になりました。結局、大型バスは敬遠して通らなくなった」と柳沢さん。
道幅は今もほとんど変わらず、駐車場の整備も課題だ。

施設整備などの道筋が見えれば、地元も勢いづく。
柳沢さんは「店舗の改装や商品開発などの新たな取り組みの機運も高まる」と期待し、公園整備にスピード感を望んでいる。
【松沢康】

◆三陸復興国立公園
東日本大震災で大きな被害を受けた陸中海岸国立公園を中心に青森から宮城までの自然公園を再編する構想。
避難路にもなる長距離遊歩道を整備するなど地域振興や雇用、災害の教訓を伝える学習の場も兼ねた公園に整備する。
今秋には原案を作成し、パブリックコメント(意見公募)の実施、中央環境審議会の諮問などを経て、来年5月に指定する予定。

毎日新聞より

投稿者 trim : 2012年03月16日 14:56