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2012年04月16日

サントリーの「極薄ラベル」

サントリー食品インターナショナルは、5月からミネラルウオーター「サントリー天然水」に国産ペットボトル飲料では最薄の16マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルのラベルを導入する。

使用済みのペットボトルをリサイクルした再生PET樹脂を8割使用しているのも特徴で、従来のラベルと比べ製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を23%削減できる。

今後、「サントリーウーロン茶」や「伊右衛門」など各商品に広げていく方針だ。


極薄を可能にしたのは、ラベルを鉢巻きのようにボトルに巻き付ける「ロールラベル」という方式を採用したため。
この方式だと、強度が落ちても貼り付けられるため、薄型化が可能になった。
同社は2010年10月、この方式で当時は国産で最薄となる18マイクロメートルのロールラベルを開発したが、今回はさらに薄い16マイクロメートルを実現した。
ロールラベルは廃棄時にはがしやすいこともメリットだ。
それまでの「シュリンクラベル」と呼ぶ方式は、ラベルをボトルにかぶせ熱を加えて貼り付けるため、薄くても40マイクロメートルが限界とされた。

薄型化と平行して取り組んだのが、再生PET樹脂の活用だ。
前回の18マイクロメートルのラベルでは原料の6割に再生樹脂を使用したが、今回はそれを8割に引き上げた。
ラベル製造時に石油由来の新規素材の使用量を減らせるため、CO2削減に大きく寄与する。

再生PET樹脂は作業服などの衣料品や卵パックなどへの再利用は進んでいたが、ミリ単位以下のペットボトルラベルに使用するのは容易ではない。
わずかな不純物が混入してもラベル製造過程で破損してしまう上、ここを持ちこたえても1分間に約700本の猛スピードでボトルにラベルを巻き付ける工程には耐えられないからだ。

1カ所でトラブルが起きると他の工程にも影響が及び、特に夏場の飲料の最需要期であれば大幅な販売減にも直結しかねない。
商品を製造する工場側は生産効率への懸念から難色を示し、実際に立ち上げ時はラベルをボトルにうまく巻き付けられなかった。
問題が発生するたびに細かい調整を繰り返し、製品化にこぎ着けた。

これらの技術開発は、サントリーグループで基盤技術開発などを担うサントリービジネスエキスパート、包装用フィルムなどを手がける東洋紡績、再利用素材の開発などを行う協栄産業などが共同で行った。


再生PET樹脂の活用はラベルだけにとどまらない。
発端は、「BtoB(ボトルからボトルへ)」のキャッチコピーのもと、使用済み飲料ペットボトルの飲料ペットボトルへの再生を目指したことがきっかけで、18マイクロメートルのロールラベル導入から半年後の昨年4月には、国内初の「リペットボトル」の開発に成功している。

使用済みボトルを粉砕、洗浄して作られた再生樹脂をさらに高温、減圧下で不純物を除去、再びボトルにしたもので、「サントリーウーロン茶」の2リットルボトルで導入中だ。
この1年で生産も安定し、同商品だけでCO2を年間3万トン削減できるという。
ラベルでの技術進歩をもとにリペットボトルの改良も進め、今後は他の商品での導入を探る。

サントリービジネスエキスパート新包材技術開発推進部の岸重信課長は「東日本大震災で資材供給量が不足した際、再生PET樹脂を活用したボトルやラベル がより普及、進化していれば商品供給が持続できることを強く感じた」と話しており、大手飲料メーカーとしての緊急時の供給責任の観点からも、リサイクル技術を一層強化していく構えだ。
【金谷かおり】

フジサンケイ ビジネスアイより

投稿者 trim : 2012年04月16日 17:22