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2012年05月24日

都会の「屋上農園」続々誕生

都心部で、屋上を利用した貸農園が続々と誕生している。

ヒートアイランド現象の防止と地産地消の一挙両得の屋上菜園。

一部では農具の貸し出しや指導だけでなく、水やりなどのサービスも提供。

手軽に農業を楽しめると好評で、世代を超えた新たな都会の余暇の過ごし方として定着しそうだ。

4月にオープンした複合施設「ダイバーシティ東京プラザ」(東京都江東区)。
屋上に、緑化面積約645平方メートルの都内最大級の屋上貸農園「都会の農園」が誕生した。
1.5平方メートルの賃料は月1万500円と駐車場代並みだが、地元のファミリー世帯や40代の会社員らが契約している。

川崎市宮前区の山田等(ひとし)さん(61)は昨年から、近くのショッピングセンター「東急宮前平ショッピングパーク」屋上にある「まちなか菜園」を利用。
農具や肥料なども貸し出され、買い物ついでに立ち寄り、成育状況を確認する。
1区画5.4平方メートルの賃料は月7,800円。
共働きの長女夫婦が負担しており、山田さんは「長女は私のいきがいづくりのために借りてくれた」。
収穫時期になると、近くに住む孫と一緒に収穫を楽しむ。
「私は農家の育ちだから、土いじりは慣れている。孫にも土に触れる楽しさを味わってほしい」と話す。

同菜園を管理・運営する東邦レオ(大阪市中央区)は過去3年間で、東京や大阪のビル屋上など12カ所で貸農園を運営。
時間をかけて郊外に行くより、賃料が高くてもサポート付きで、近くで気軽に野菜を作ってみたいという人に人気という。

広報担当の熊原淳さんは「収穫目的はもちろん、孫や子供、家族のコミュニケーションの一手段。1人暮らしの人も農作物を育てるプロセスを通じて地域住民と仲良くなりますし、家族や地域の絆づくりに役立っているようです」と話す。

公益財団法人「日本生産性本部」(東京都渋谷区)が平成20年に発行した「レジャー白書2008」によると、貸農園(市民農園など)の参加人口は約200万人。
参加希望者は820万人に及び、潜在的な需要はかなり高いとみられている。

屋上緑化はヒートアイランド現象の防止にもなり、建物内の温度を下げる役割も期待される。
屋上貸農園が増えれば、都心の住民も気軽に野菜作りを楽しめ、地産地消が進むかもしれない。
【村島有紀】

産経新聞より

投稿者 trim : 2012年05月24日 13:42