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2012年08月27日

農・漁業体験でファン作り


農畜産業や漁業の生産者が消費者向けに体験型イベントを開き、商品の知名度向上や需要開拓を図る取り組みが広がっている。

観光的な要素と組み合わせて都会の消費者に現場を体験してもらい、都会の消費者に現場を体験してもらい、中長期的な視点でファンをつくるのが狙いだ。

農産物や水産物の直販店や通信販売の売り上げ向上につながる効果もあり、固定客として取り込む。


手農業生産法人の伊賀の里モクモク手づくりファーム(三重県伊賀市)は今夏、自社の牧場で羊や牛、馬とのふれあい、食への理解を深めてもらうプログラムを始めた。
施設への入場料500円で体験できる。
これまでも乳搾りを実施していたが、動物に牧草や乳を与えたり、馬の毛の手入れをしたりと牧場の生活を1日かけて体験できるようにした。

ブルーベリーの収穫などができる農業体験施設との相乗効果でファミリー層を呼び込み、運営するレストランや通販の販売増につなげる。
これまでも体験型イベントに力を入れており、同社の現在の年商は約50億円で10年前から倍増した。

東日本大震災後、水産物の養殖者らを中心に設立した「OHガッツ」(宮城県石巻市)では1口1万円で「そだての住人」を募集している。
2,300人以上が参加し、3千万円を集めた。
ホタテやカキなどの収穫物を送るだけでなく、今年から希望者は現地に招いて養殖作業を体験してもらう。
遠方から来る人のために1泊2千円で宿泊施設も用意し、既に約500人が養殖体験に訪れている。

熊野漁業協同組合(三重県熊野市)では昨年、船を走らせながら疑似餌で佐波やカツオを釣る「ケンケン漁」の体験漁業を始めた。
実施機関は7~9月で参加費は4千円。
世界遺産の熊野古道を訪れる観光客に現地の漁業を知ってもらうのが狙いで、釣った魚は持ち帰ることができる。
同漁協は来年、近隣の景勝地に開業するみやげ店内に鮮魚店を出す計画で、相乗効果を見込む。

伊江漁業協同組合(沖縄県伊江村)は一昨年、大人数で海面をたたいて網に魚を追い込む伝統的な漁法などを体験できるプログラムを始めた。
修学旅行生を中心に年間5千人程度が参加する。
参加費は2,500円から。
特産品のソデイカのゲソでつくった加工品などを持ち帰ってもらい、通販でリピーター獲得につなげている。
八前隆一組合長は「魚の需要が減る夏の収入減を補える。地元では価値の低いゲソの有効活用にもつながっている」と話す。

日経流通新聞より

投稿者 trim : 2012年08月27日 13:10