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2006年08月18日

地域金融機関 「環境配慮」に優遇相次ぐ

地域金融機関が自然環境の保護を目的とした施策を強化している。

環境に配慮する企業の貸出金利や私募債の保証料を優遇するほか、営業地域を流れる河川の水質の改善度合いに応じて個人向け定期預金金利を引き上げる動きも出てきた。
屋上緑化など金融機関自身も様々な試みを始めている。
地元の環境を重視する姿勢を示し、顧客層の拡大につなげる考えだ。


広島銀行は私募債の発行で、企業が環境管理の国際規格である「ISO14001」などを取得している場合、保証料率を最大で0.3%優遇する制度を導入した。

京都銀行も6月から、環境配慮型の企業向けの貸出金利を最大0.3%低く設定。
私募債の事務委託手数料も0.15%優遇している。

企業だけでなく個人の環境意識を高めようとする取り組みもある。
大和信用金庫(奈良県桜井市)は7月から、奈良盆地を流れる大和川の水質の改善度合いに応じて金利を引き上げる一年物の定期預金の取り扱いを始めた。水質の指標の改善度合いによって、最高で預入時の店頭表示金利に0.1%を上乗せする。

一方、金融機関自身も環境対策に知恵を絞っている。
肥後銀行は阿蘇外輪山の森林約52㌶を地元の地権者から購入した。
森林一帯で植樹や下草刈りを実施し、二酸化炭素の削減などにつなげる計画だ。

東京都民銀行は風力・太陽光発電や、観葉植物をふんだんに配慮した店舗など開設した。
大邸銀行ではみずほコーポーレート銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行が7月、事業を対象にに貸し出すプロジェクトファイナンスの国際的な環境基準である「エクエーター原則」の改訂版を採択した。
総事業費が1,000万米㌦以上のプロジェクトを対象に、環境や会社に与える影響を評価・管理していく。

国内の中小企業向けでも、三井住友銀が環境ビジネスに的を絞った企業交流会を開いたり、廃棄物削減や省エネ対策のための設備資金を低金利で貸し出すサービスを展開している。
大手に比べ不良債権処理が遅れていた地域金融機関は収益回復を最優先課題としてきた。

業績回復が鮮明になるなかで、金融機関に対する「もうけすぎ批判」も出ている。
金融機関が環境保護などCSR(企業の社会的責任)を拡充し始めたのは、「ようやく株主以外のステークスーパーソルホルダー(利害関係者)のことを考える余裕が出てきた」(スタンダード・アンド・プアーズの根本直子氏)という側面もある。

日本経済新聞より

投稿者 Melody : 2006年08月18日 11:37