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2006年10月08日

【愛媛県】産廃税導入 循環型社会づくりに生かしたい

愛媛県内の最終処分場に持ち込まれる産業廃棄物に課税する資源循環促進税条例案が県議会で可決された。

いわゆる産業廃棄物税で、来年4月施行の予定だ。
産廃税は産業廃棄物の排出抑制を図るとともに税収で環境施策を進めることを目的としており、四国で初の導入だ。

廃棄物の減量やリサイクルの促進などを進める資源循環型社会づくりへの一歩として期待したい。
ただ、新たな課税とあって関係業界には重い負担となる。
今後の運用でそうした負担に見合う効果を実感できるようにすることが大切だ。

産廃税が全国的に注目を集めているのは、産廃の増加で埋め立て処分場がパンク状態になり、不法投棄が後を絶たないといった背景がある。
まず三重県が2001年、法定外目的税として産廃税条例を全国で初めて成立させた。
これまでに26道府県が導入済みか導入予定だが、なかでも九州7県、東北6県などが足並みをそろえて導入したのは注目される。
県境を越えて運搬される産廃に対応するためには広域連携が重要であるからだ。
当初、愛媛県の産廃税導入に当たって条件となったのは、県民や関係業界の理解と合意、四国内の協調と連携の2点だ。
条件整備に向けて県産業廃棄物税検討会などでも検討が重ねられた。
最終的には、産廃税導入に反対していた関係業界団体も態度を軟化した。
しかし四国3県の取り組みが進んでいないため、先行導入する形となった。
この点で十分な連携とはいえず、引き続き働きかける必要があるだろう。
産廃税の仕組みは、最終処分場への搬入量1㌧当たり1,000円を課税し、納税義務者は排出事業者と中間処理業者とする。
委託処分の場合は、最終処分業者が特別徴収義務者として申告納入するというものだ。
ただ、排出者の公平な税負担や中間処理業者へのしわ寄せなどに関する問題点も指摘されており、さらに検討することが必要だ。

税収の使途として県は、当面、産廃の減量や有効利用の研究開発、処理技術の高度化、環境ビジネスの振興などを挙げる。
産廃の排出抑制やリサイクル促進に効果のある検討はもちろん、税収効果について県民への説明を求めておきたい。

先行自治体の産廃税効果はまだ必ずしも明確ではないようだ。
排出量は景気に左右されやすく、リサイクル進展という事情もある。
いずれにせよ、効果をよく見極めるとともに、制度の検証が望まれる。

新税導入に伴い、課税逃れの行為や不法投棄が増えたり、他県に産廃が流出したりしないか。そんな懸念も残る。
不法投棄の防止に向け、関係機関のいっそうの監視強化が欠かせない。この点でも4県の協力態勢強化は大きな課題だ。
産廃問題ではこれまで規制中心の対策がとられてきた。そこに産廃税という新たな試みが加わる。
それらの組み合わせで効果的な排出抑制につなげたい。

愛媛新聞より

投稿者 Melody : 2006年10月08日 22:22