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2008年10月03日

竹林の循環でCO2削減

古来、日本人に親しまれてきた竹林が放置され、里山を荒廃させるなどの悪影響をもたらしている。

京都精華大学(京都市左京区岩倉木野町)の山田國廣教授(環境マネジメント)の研究室では、5年前から同大学近くの竹林を定期的に伐採、竹材で小屋などを作っている。

竹材は最終的に炭にして土に埋める。
生態系 や景観の保全だけでなく、二酸化炭素(CO2)の削減にもつなげようとする取り組みだ。


伐採している竹林は、同大学と隣接する愛宕神社周辺にあり、面積は約2㌶。
この竹林は、山田教授が同大学に赴任した平成9年の時点では、まだきれいな状態だったという。
ところが、5年後に見てみると、人が通れないほど竹は伸び放題で、根は民家の敷地にも侵入。
枯れた竹も目立ち、「どう手を入れれ ばいいか、途方に暮れる状態」(山田教授)に変わり果てていた。

山田教授によると、竹は1年目で高いものだと約20㍍まで伸び、成長が止まる。
その後は水分が減って色が変わっていき、5年目で枯れ始める。
こうした竹林の循環は、雑木林が20~30年周期なのに比べて、きわめて短い。
きれいな竹林を維持するには毎年、全体の2割を伐採するのが理想的だという。
それは、竹林が「消費を必要としている」(山田教授)ということでもある。

昔は地権者らが伐採して消費していた。
また、タケノコを採るのも竹林の維持管理に有効だった。
しかし、今では竹材の需要が減って伐採する人手もままならなくなり、タケノコも海外産に押されるようになってきた。
山田教授は「伐採、消費は都市住民がするしかない」という。なぜ都市住民なのかというと、竹林は 集落と里山の間にあることが多いからだ。

大学近くの竹林の伐採は当初、山田教授と研究室の学生で行っていたが、一昨年には研究室以外の学生らも参加した「竹屋プロジェクト」が結成された。
今では50~60人が分担して月2回程度、伐採。
1年間の伐採量は10~15㌧になる。

山田教授は、竹材を多量に使うものとして小屋に着目。
大学の敷地内に授業の一環として、小屋を建てている。生竹の耐用年数は5年程度だが、小屋は3年周期で建て替える。
廃材となった竹で炭を作り、土に埋めるのを基本としている。

なぜ埋めるかについて、山田教授は「炭を燃料にすると、結果として竹が大気中から取り込んだCO2を大気中に返してしまうことになる。土に埋めると炭素を固定することができる」と解説する。

山田教授の試算では、竹1本(約20㌔)の20~25%が炭素。
これを最終的に土中に固定することがCO2削減につながる。

日本の森林のうち、竹林は0.5~1%程度だが、年々拡大しているとされる。
山田教授は「竹林は身近にある。地道に切って、使って、炭にする。また、竹林の近くには社寺が多く、地元の人たちとの交流にもなる。地域でその循環モデルを確立し、全国に広げていきたい」と話している。


産経新聞より

投稿者 trim : 2008年10月03日 14:15