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2008年10月02日

東大、完全リサイクルのコンクリ開発

ビル解体現場で発生する廃コンクリート。
高度経済成長期に建てられたビルが寿命を迎えつつあり、今後、廃コンクリートが急増するのは確実だ。

東京大学大学院工学系研究科の野口貴文准教授らの開発チームは、通常よりも強度が高く、完全リサイクルが可能な次世代コンクリートの開発に成功した。

産廃処理コストの削減や、CO2(二酸化炭素)削減効果も期待されており、今後、ゼネコン各社と協力し早期実用化を目指す。


国内で発生する廃コンクリートは年間3,200万㌧で、建設系産廃の4割を占める。
またコンクリート製造過程におけるCO2排出量は国内全体の6~7%と環境負荷も高い。

加えてこれまで、廃コンクリは道路の路盤材として活用されてきたが、公共事業削減の影響で需要が減少、産廃処理コストの上昇で、行き場を失った廃コンクリを回収・リサイクルする技術開発は急務になっている。

コンクリートは砂利や砂からなる骨材とセメントを混合することで製造される。
廃コンクリートを再生し、利用するには、廃コンクリートから骨材を取り出す必要があるが、これまでは骨材とセメント硬化体をはがれやすくすると、付着力が弱まるなど問題点も多く、リサイクルは普及していなかった。

開発チームでは、骨材表面に超微粒子・シリカフュームと廃コンクリを粉末状にした副産微粉を2:8の割合で混合することで、セメントとの付着力をアップさせ、強度を1.2倍に高めた。
さらに酸化鉄を混ぜ、その後マイクロ波加熱を施すことで、セメントが脆弱(ぜいじゃく)化、効率的に骨材を取り出せた。

副産微粉はセメントが固まってできたもので、そのままセメントとして使うことができる。
セメント原料の石灰石はすでに焼成し、CO2を含んでいないため、副産微粉を焼いてもCO2は発生しない。
セメント生産時のCO2排出量を3分の1に低減できる。
強度・耐久性が高い次世代コンクリートの普及が進めば、大幅な廃棄物削減などが期待されている。

コンクリート原料が先細る中で「将来的には廃コンクリートをリサイクル資源として活用するしかない」のが実情と野口准教授は指摘する。


フジサンケイ ビジネスアイより

投稿者 trim : 2008年10月02日 10:22