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2009年01月06日

カードゲームで環境教育

子供たちに環境問題へ取り組むきっかけを作ってもらおうと、環境の保全と破壊を題材にしたトレーディングカードを使った対戦型ゲームを学生らが開発した。

教育の一環に導入した小学校では、関心の薄かった児童が自分の身の回りの出来事として考えるようになるなど効果が表れている。

「そっちが15点、こっちが8点だから、マイナス7点かー。あー、負けちゃったー」。
昨年12月22日、横浜市立つつじが丘小学校(児童577人、小正(こまさ)和彦校長)の5年生110人ほどが一つの部屋に集まり、対戦型カードゲームを使った授業に初めて取り組んだ。

このゲームは「地球環境カードゲーム マイアース」。
学校側はかつて、子供たちが持ち込むいろいろなカードゲームを勉強の妨げやけんかの原因になるとして取り上げていたが、学年主任の山本慶子教諭は子供たちの熱中ぶりを見て、「偉い人の話を聞くだけの授業より、好きなカードを使うほうが理解が早い感じがする」と目を細めた。

ゲームを発案したのは慶応大大学院の岡崎雄太さん(24)。
同大入学直後から環境問題に取り組みたいと考えていたが、「『地球が泣いている』といったようなスローガンはどこかセンセーショナルにあおっているような気がした」。
そんな中、中学時代に夢中になったカードゲームの活用を思いついたという。

構想をもとに、同期生とともにデザイン化。
昨年7月、大日本印刷と共同出資の合同会社「マイアース・プロジェクト」を設立、製品化を実現させた。

ルールは、子供に人気の「ポケモン」「遊戯王」といった対戦型カードゲームに似ている。
二手に分かれ、手札からカードを選び、書かれた点数を比較して対決。
負けた方の持ち点から点差分を引いていく。
どちらかの持ち点が無くなるまで対決を繰り返す。

特徴は、一方が地球の自然環境を守る「地球守護」の立場なのに対し、もう一方は地球温暖化による「環境破壊」の立場を取る点だ。
人間の活動が環境の保全と破壊の両方に作用するという現実を踏まえ、カードには社会活動などに関する内容も盛り込まれている。

例えば、環境を守る側なら「風呂の残り湯で洗たく」、破壊側なら「冷暖房を強くする」。
カードにはその行動による効果や影響と、その理由が解説されており、日常生活と環境問題のつながりを身近に考えられるよう工夫されている。

昨年度の5年生の授業に取り入れた、つつじが丘小の小正校長は「以前は、ごみの分別が何を目的にしているか分からず、環境問題への興味、関心が薄れる子供がいたが、カードゲームという全く違うアプローチで関心を示し、自分で考え始めている」と話す。

カードゲームは1式(40枚入り)1,785円。
書店やインターネットで市販もされており、親子で楽しむこともできる。

限定販売も含め、カードの種類は全71。
岡崎さんらは、神奈川県内の小中学校や都内の環境イベントなどで体験会を実施中で、「カードに書いた解説文が子供たちに間違った認識を与えないよう気を配り、カードの種類を増やしていきたい」と話している。


産経新聞より

投稿者 trim : 2009年01月06日 11:01