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2009年01月07日

農地再生、CSRで誘引

山梨県北杜市の増富地域は人口約600人で、6割強が65歳以上の限界集落。

JR韮崎駅からバスで1時間半の山の中にあるが、最近、この過疎地域に大手企業の社会的責任(CSR)担当者らが続々と足を運ぶ。

目当ては同地域で農村再生に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)「えがおつなげて」だ。


「東京・丸の内の大家さん」の異名をとる三菱地所もそのうちの1社で、昨年7月に、えがをつなげてと事業提携した。
遊休農地の再生という社会貢献活動だけではなく、「食」や「住」など幅広い分野で連携を目指す。
具体的には「ビルのテナント飲食店向けの食材調達や分譲マンション居住者向けの農地提供も視野に入れている」とCSR推進部の寺坂琴美氏は説明する。

えがおつなげての曽根原久司代表は「企業のCSRはかつてのメセナのようなものではなく、本業との相乗効果を見据えている。景気変動に左右されることがなくなり、過疎地の農村再生には追い風だ」と話す。

企業が農村に求めるのは農地、木材など豊富な「地上資源」。
だが、よそ者の企業はいきなり農村コミュニティーに入れない。
企業と農村をつなぐコーディネーター役を務める、えがおつなげてには現在、問い合わせも含めて100社以上から連携の打診があるという。

このNPOは2003年から遊休農地の再生を進めている。
増富地域の遊休農地は従来38㌶あったが、企業や大学、個人のボランティアを呼び込み、3㌶を農地に戻した。
それでもまだ全体の6割弱は遊休農地だ。
農地再生は生産高の増加だけでなく、農業に従事する若い人に森林保全などの地域活動に参加してもらえる利点もある。

えがおつなげては今春、三菱地所などと協力し「関東ツーリズム大学」を設立する。
増富地域のほか、関東の7地域の農村と東京・丸の内にキャンパスを設け、農業体験などを通じて新規ボランティアを募る狙いだ。

「都会の生活に疲れた若者だけでなく、景気悪化で増えた失業者の参加も見込める」と曽根原氏。
人口600人あまりの増富地域だが、将来の定住人口の増加につながる交流人口は2007年で3,000人以上。
曽根原氏は、ツーリズム大学などによって1~2年以内には交流人口が1万人以上に増えると見込んでいる。


日経流通新聞より

投稿者 trim : 2009年01月07日 11:25