« 「小さなエコ農村」 | メイン | 【エコシティー】甲府市 »

2009年05月20日

中小、農漁業で地域活性化

全国各地の中小企業が地元の農漁業と組み、生産効率化や自然再生事業に参入する動きが広がっている。

宮崎の情報関連企業は農家と牛の繁殖を効率化できるシステムを開発。

岡山県の建設会社は漁業関連団体と、地球温暖化の影響で侵食された砂浜の再生事業に乗り出した。

低迷が続く地域経済の活性化だけでなく、海外市場の開拓にもつなげる。


システム開発のコムテック(宮崎市、笹栗紘二会長)は、中小農家向けの新サービスを年内にも始める。

牛は発情すると歩数が通常の5倍以上に増加する点に着目。
牛の足に小型装置をつけ、インターネットを介して歩数解析するシステムを地元の農家の協力を得て開発した。
農家は携帯電話のメールやファックスで牛の状態が即座に確認できる。
発情期は通常、農家が勘と経験を基に推定するため見逃す事もあった。
新システムを使えば繁殖周期を10~15%程度短縮、生産性を高められる。
煩雑な操作を省き、パソコンに不慣れな農家にも対応できるようにした。
まず500件の導入を目指す。
同社はすでに米国や豪州で関連技術を特許取得済みで、海外市場の開拓も狙う。


海洋建設(岡山県倉敷市、片山敬一社長)と全国漁業協同組合連合会は、貝殻を素材に“砂浜”を再生する事業に着手する。

カキやホタテの貝殻を粉状にして処理して人工の干潟を造成する。
温暖化や河川工事の影響で砂浜が侵食され、漁場への影響が懸念される地方の自治体に営業をかける。
海洋建設と同連合会はこれまでも、海の環境保護につながる事業を共同で進めてきた。
2001年にはネットに入れた多数の貝殻を規則的に配列してつくる人工漁礁「シェルナース」を開発し、施工した実績もある。
こうしたノウハウを活用して砂浜再生にも取り組み、地域の漁業の活性化にもつなげる。


農業や漁業に中小企業のものづくり技術や販売力を組み合わせる「農商工連携」の試みは、「地域経済の活性化に役立つ」(中小企業庁)として経済産業省と農林水産省も政策面で後押ししている。

2009年度は新商品開発や販路開拓、市場調査などの関連予算で155億円を確保。
前年度の約1.5倍に増やした。


すでに地域経済の活性化に成功した事例も出ている。

菓子製造・販売のお菓子のポルシェ(沖縄県読谷村、澤岻カズ子社長)が商工会と連携して開発した地元特産の紅芋を原料に使った焼き菓子「紅いもタルト」は年間売上高は18億円と、同社の売上高の半分を占めるヒット商品として成長した。

紅芋は虫が付きやすいため生では遠方に出荷できず、焼き芋などにして地元で消費されるのみだった。
「紅いもタルト」の需要拡大で紅芋の栽培農家から仕入れる紅芋の量は、2008年の750㌧から2009年は1,000㌧に増える見通し。
読谷村の農家だけでは生産が追いつかず、契約先農家を県全域に広げている。
10月をメドに3億5,000万円を投資して紅芋ペーストの新工場を建設、生産量を現在の1.5倍に引き上げる計画だ。


日本経済新聞より

投稿者 trim : 2009年05月20日 14:26