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2009年08月16日

期待も熱い「自然エネルギー」

緑の山々の間から硫黄の匂いとともに、もうもうと大量の白い水蒸気が立ち上がっている。高台からこの蒸気を見下ろすと、巨大なコンクリートの“煙突”が姿を現した。

ここは岩手県八幡平市の東北水力地熱株式会社「松川地熱発電所」。
水蒸気を出しているのは冷却塔(高さ46㍍、直径45㍍)で、外気温によっては地上約200㍍まで達するという。

同所は1966年10月に稼働を開始した日本初の実用地熱発電所だ。
現在、八幡平市周辺の約6万世帯に電気を供給している。

地熱発電はマグマの熱で200度を超えた蒸気を地下約1,000㍍から取り出し、タービンを回して発電する。

枯渇することのない純国産の自然エネルギーで、天候に左右されることもなく安定した電力供給を見込める。

地熱発電の候補地の多くが国立公園に指定されていたり、温泉地の近くであったりするため、景観を損なうなどの理由で発電所建設には難色を示す人も多い。

同発電所そばの松川温泉にある老舗宿「松楓荘」の高橋晟さん(66)は「言ってしまえば温泉宿自体も景観を壊していることに変わりはないでしょう。
それでも発電所のおかげでここまで道路が整備され、電気も通るようになりました」と話す。

また、「考え方は人によって違うかもしれないが、この場所に住んでいる私たちはこの先も一緒に発展していければと思っています」と、温泉との共存共栄を高橋さんは力説する。

全国に地熱発電所は18カ所。
認可された総出力電力のうち、東北地方の電力が半分を占めているという。
二酸化炭素をほとんど排出しない地熱発電。温泉大国・日本ならではの「エコ発電」に、期待も熱くなっている。


産経新聞より

投稿者 trim : 2009年08月16日 14:06