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2009年09月26日

パン小型化など工夫で

廃棄処分される学校給食の食べ残しを減らすにはどうすればいいか。

どの自治体も頭を悩ませる中、福岡市教委が今年度から始めた試みが成果を上げ、注目を 集めている。

学年の変わり目の1学期だけ給食のパンの大きさを2口分ほど小さくしたところ、食べ残し量が激減したのだ。


小中学校の給食パンは、1997年に文部科学省が持ち帰り禁止方針を打ち出した。
1996年に堺市で起きたO157集団感染がきっかけだ。

給食パンには防腐剤が入っておらず、品質保証期限は当日限り。
しかし福岡市内では多くの学校でこの方針が守られず、市教委は昨年4月に改めて持ち帰り禁止を通知し、併せて食べ残し調査をした。

浮かび上がったのは大量の食べ残しの実態。
昨年の1学期中に廃棄されたパンの量の割合は小学校で15.5%、中学校では24.9%に上った。
小麦粉量に換算すると、小中学校合わせて1日平均約1.3㌧!
ただ、2学期以降は減る傾向にあり、3学期の食べ残し量は小学校で8.5%と、ほぼ半減した。

そこで市教委は今年度から、1学期中だけ一部の学年でパンを小さくしてみた。
パン1個の小麦粉量は文科省の基準で
▽小学1、2年50㌘
▽小学3、4年60㌘
▽小学5、6年70㌘
▽中学生80㌘。

これを小学1、3、5年と中学生で各10㌘、およそ2口分減らした。
入学したての小1や中1、学年が変わった途端に量が増える小3、小5に配慮した「激変緩和措置」だ。

効果はてきめん。
市教委によると、児童・生徒や保護者から「足りない」といった不満や苦情はなく、1学期中の廃棄量の割合は小中学校とも昨年同期比で半分に。
1個の量が減ったにもかかわらず、食べられたパンの量は
▽小学校全体で3,802㌔から3,844㌔
▽中学校で2,103㌔から2,158㌔に増えた。

ただ、各校で一律に減ったわけでなく、食べ残しの割合は学校によって最大十数ポイントの開きがある。
パンを小さくする以外の、給食の工夫に負うところが大きいようだ。

市立南当仁小(児童数706人)は、パンを除く食べ残し量の割合が学校全体で0.1%を切る。
教職員分も含め1日の給食は750食。
パンも昨年は45㍑バケツが一杯になるほど残ったが、今はごくわずかだ。
なぜこれほど減ったのか。
村本繁校長によると、要因は二つあるという。

まず、昨年4月から給食時間を10分延ばして50分にしたこと。
「ゆっくり楽しんで食べることはいいことだと教える」狙いで、保護者からは「家でもゆっくり食べるようになった」と好評という。

二つ目は、給食の作り手の「顔」が見える工夫。
各クラスで月に1回、調理業務員が3分間、メニューの中身などを児童に説明して回るほか、廊下には「食育展示コーナー」を設けて食材の野菜を並べたり、食に関する質問を受け付けている。
「『あの給食の先生が工夫して作ってくれたけん、もうちょっと食べよう』と思ってくれる」と村本校長。

食べ残しや野菜の切りくずは、児童が校庭の隅に埋めて「リサイクル」もしている。
市教委健康教育課は「食べ残しの多寡は先生の指導による部分も大きい。『もったいない精神』が尊ばれる時代。各校で食べ残し削減に取り組むようお願いしている」と言う。


毎日新聞より

投稿者 trim : 2009年09月26日 15:38