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2010年04月28日

「農業は刺激的」

農業を習いたい。
そう考える都会暮らしの若い人が増えつつある。

近郊の農家や畑で土づくりや植え付け方を習うことが非日常的な体験として楽しまれている。

ベランダで花や野菜を育てる「ベランダー」が増え、より深く農業を知りたいというニーズもあるようだ。
ひと昔前の家庭菜園から趣を変え、「農」の楽しみが進化している。

ベビーリーフ、春菊、ルッコラ、トマト…。
タレントの英玲奈(えれな)さん(27)はベランダのプランターで約15種類の野菜などを育てる「ベランダー」だ。

料理好きで、いつでも使えるようにハーブを育て始めたのがきっかけ。
毎日水をやり、虫が付けば割りばしで取り除く。
「手間をかければ、それに応えてくれるのがうれしい」。
もっと野菜づくりを知りたいと、昨年9月には「ファームマエストロ協会」(東京都渋谷区)の講座を受けた。

同協会は昨年8月、料理研究家の鈴木あさみさんが設立。
埼玉県の農園で月1回、土おこしや種のまき方、苗の植え付けなど体験学習ができる講座を開く。
1日講座で料金は63,000円だが、これまでに若い女性や親子を中心に約85人が受講した。

「不況や環境問題に関心が集まり、お金の使い道が物欲を満たすより、将来の自分や健康へと変わった。土や農村の空気に触れ、都会の疲れを癒やしたいという人もいるようだ」と鈴木さんは話す。

近年、「グリーンツーリズム」など自然とふれあうレジャーが人気を集め、農業体験の機会も増えた。
マンションで手軽に野菜を育(はぐく)む「ベランダー」も目立ち、サントリーフラワーズ(千代田区)は今年、野菜苗の販売計画を2年前の3倍に増やした。
そんななか、より深く野菜づくりを学びたいと、自主的に農業を学ぼうとする動きも出てきた。

社会貢献活動を支援するNPO法人「ソーシャルコンシェルジュ」(港区)は月に1度、八ケ岳山麓の休耕地を借り、農作業をしながら専門家に四季折々の作物の育て方や環境負荷の少ない暮らし方などを学ぶ教室を今月開講。

開講前の今月中旬に東京・南青山で開かれた説明会にはドレッドヘアの若い男性やファッション誌の編集者、クリエーターなど10人近くが集まった。

「アスファルトに囲まれて暮らす中、休日に庭のエンドウ豆の苗に触ると大地とつながっていると感じる」と東京都東久留米市の鈴木雄次さん(27)。
「草むしりもメディテーション(瞑想)になるかも」と、説明終了後も話を弾ませた。


なぜ都会の若者らが「農」に引きつけられるのか。

ソーシャルコンシェルジュ主宰の林民子さんは「百姓は百のことができると言われるように、想像力を要するとてもクリエーティブな仕事。感度の高い人やルーティーンの仕事に追われる都会暮らしの人にとって、農業は刺激的な魅力がある」と指摘する。
【津川綾子】


ベランダ野菜の成功の秘訣(ひけつ)は?
恵泉女学園大学の藤田智教授(野菜園芸学)に聞いた。


――プランターに苗は何株?

「大型で横長のプランターならトマト、キュウリは40~50㌢間隔で2株、ナスは丸型プランターで1株が理想。ホウレンソウなどは1㌢間隔で種をまき、間引いて3㌢間隔程度」


――日当たりが悪い場合は?

「半日でも当たるなら小松菜、ホウレンソウ、春菊、サトイモ。あまり日が当たらない場所でも三ツ葉やミョウガなら育つ」


――水やりのタイミングは?

「できれば午前中。夜も土が乾いたら水を」


――初心者向けの作物は?

「レタスとサンチュは簡単。ワケギもおすすめ」


産経新聞より

投稿者 trim : 2010年04月28日 10:24