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2010年05月07日

バイオ燃料廃液を樹脂に

北海道大学の増田隆夫教授と多胡輝興准教授は、植物油からバイオディーゼル燃料を作るときに出る廃液から樹脂などの原料を合成する技術を開発した。

安価な酸化鉄を使った触媒を利用、プロピレンやケトン類を取り出せる。

石油などから合成する従来法に比べ、3分の1程度のコストでできるという。

企業と共同研究を始めており、2~3年以内に実用化のめどをつける。

植物油などからバイオディーゼルを生産すると、バイオディーゼルの5分の1程度の廃液が出る。
廃液の半分は、プロピレンなどプラスチックのもととなるグリセリンが含まれている。

研究チームは、触媒の1つである「ジルコニア―酸化鉄」に注目した。
廃液をセ氏350度程度で蒸発させて、同触媒と接触させると反応が進行。
廃液に含まれていたグリセリンが、アリルアルコールやカルボン酸に変わった。
それぞれグリセリンの30%ずつで合成できた。

さらに触媒の量を増やすと、アリルアルコールがプロピレン、カルボン酸はケトン類として取り出せることを確認した。

プロピレンは、プラスチックなどを作るのに使う。
ケトン類は樹脂や溶媒の重要な原料になる。
通常は、石油からナフサを作り、高価な貴金属の触媒などを使って合成するのが一般的だった。

バイオディーゼルの副産物である廃液は、欧州などで有効活用の動きが盛ん。

多くは廃液から余分な水分などを取り除いて、グリセリンだけを分離する。
精製に手間やコストがかかるほか、大量の廃液が必要だった。

新技術はグリセリンを取り出さずにケトン類など有効物質を合成できるため「少量の廃液でも有効に活用できる」(多胡准教授)という。
すでに化学メーカーと実用化に向けた研究を進めている。


日経産業新聞より

投稿者 trim : 2010年05月07日 14:53