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2010年07月31日

黒い「ガンプラ」


7月24日に初代の発売から満30年を迎えたガンダムプラモデル(ガンプラ)は、バンダイが世界に誇る日本のホビー商品だ。

今年3月末には累計販売数が4億個に達したが、その個数分だけ出るのが「ランナー」と呼ばれるプラモデルの部品を支える枠をはじめとする廃プラスチックだ。

バンダイはガンプラの進化とともに、この廃プラスチックの削減にも取り組んできた。


「プラモデルの生産には年間4,000㌧ものプラスチック材を使用している」(社長室広報チーム)という。
部品とランナーに使われるプラスチックの割合について、バンダイは公表しておらず、製品によって割合はそれぞれだが、少なからぬ量のプラスチックがランナーに使われていることは事実だ。


ランナーは不可欠な存在だが、廃棄される運命には変わりない。
この部分をいかに少ないプラスチックでまかなうかという命題に取り組むことが、そのまま廃棄物の抑制につながる。

「ランナー部分のプラスチックを細く、薄くする」(同)のが基本的な方法だ。
とはいえ、組み立てに使う数ある部品そのものを薄くしたりすることはしない。
「完成品のできあがり具合に影響を及ぼす」というのがその理由だ。
そのため、部品の厚みや強度はそのままに、それを支えるランナーを細くしたり薄くしたり、あるいはランナーの角の部分の丸みをより大きくして削減を図ってきた。


もちろん、部品枠としての用途もきっちり果たさなくてはならず、そのバランスのさじ加減が要求される取り組みだ。

ランナーには、一つの製品の中にいくつか種類があって、それぞれに「A」「B」「C」…とアルファベットで印がつけられている。
パーツを組み立てる際に、「『A』の1、2番と『C』の7番を組み合わせる」といった表記に使うためだ。

このアルファベットも、「かつてはベースとなるプラスチックの上に、さらにプラスチックで文字を重ね書きしていたが、今ではベースのプラスチックをくり抜いて表現するようになった」(同)という。

実に細かい削減方法だが、こうした地道な努力の積み重ねが、総合的な廃棄物の抑制につながっている。


ガンプラ30年の歴史の中で、環境に根ざしたこうした取り組みをバンダイが始めたのは2006年度から。

2009年度には、抑制したとみられる廃棄物の試算を初めて行い、商品としてファンに届いた段階で、「年間でおよそ59㌧のプラスチックが削減できた」という。


現在でも生産し続けている古いガンプラは、古い金型をそのまま使っているため、プラスチックを削減する設計とはなっていない。

59㌧という数字は2006年以降に生産を開始したガンプラによって積み上げられたものだ。
バンダイでは、「部品やランナーを含め、ガンプラ全体で2%のプラスチックの削減を目指している」という。

もちろん、商品になる以前にも廃プラスチックは出る。
ガンプラの工場、バンダイホビーセンター(静岡市葵区)では、多色成形機に投入されたプラスチックの余った部分はその場で出てくる。
だがこれらは廃棄されない。

砕かれて、混ぜ合わせた黒いプラスチックとなり、そのプラスチックで新たに作られた黒いガンプラ「エコプラ」は、ホビーセンターの目玉の一つで、ファン垂涎(すいぜん)の品にもなっている。
【兼松康】

産経新聞より

投稿者 trim : 2010年07月31日 15:34