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2010年08月15日

メダカが泳ぎ、スイカも栽培


名古屋市内のビルや工場で、屋上緑化の取り組みが広がっている。

メダカが泳ぐ小川を再現したり、ジャガイモなどが収穫できる菜園が登場するなど、ユニークな試みも目立つ。

10月に希少生物の保護をテーマにした国際会議「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」が名古屋で開催されることもあり、企業イメージの向上にも一役買っている。


今年2月、中区錦2丁目に完成した名古屋丸紅ビル。地上80メートルの屋上スペース(約650平方メートル)に、里山をイメージしたビオトープ(生物生息空間)がある。

雨水を循環させた小川の周囲にはヤマモミジなどの高木、サツキやツツジといった30種以上の低木、野草が生い茂る。

小川に約30匹をメダカを放流し、5月には産卵が確認されたという。
また、どこから飛来したのかは分からないが、テントウムシやアカトンボなどの昆虫が徐々に集まっている。

「循環水の殺菌以外はなるべく人の手をかけず、できるだけ自然の力で生物の空間を再現させたい」と屋上のビオトープを管理する丸紅名古屋支社住宅開発第2部の西出智部長代理は話す。


キヤノンのショールームなどが入る興和不動産の高層ビル「名古屋インターシティ」(中区錦1丁目)の最上階18階にも屋上庭園がある。

シマトネリコなど6本の高木は高さ11㍍のガラスに囲われており、夜間にはライトアップされる。

地上から見上げると、上空に常緑樹が浮かんでいるように見える。

このほか、4月に完成した名鉄不動産の「メイフィス名駅ビル」(中村区名駅4丁目)も屋上には芝生を張るなど、ここ1、2年に完成したオフィスビルには屋上緑化を施したものが多い。


一方、屋上緑化にとどまらず、屋上菜園として、野菜づくりに励むケースも増えている。
ブラザー工業の瑞穂工場(瑞穂区河岸1丁目)の屋上では今春からジャガイモやサツマイモ、イチゴ、スイカの栽培を始めている。

6年前から屋上緑化に取り組んできたが、「せっかくなら社員みんなで楽しめるものを」(広報・総務部)と考えた。

6月上旬には昼休みの時間を利用して、十数人の社員が屋上で芋掘り。
収穫量は約50㌔で、7月に行われた社内イベントで、このジャガイモがパイなどに調理され、参加者に振る舞われた。

屋上菜園を管理するブラザー工業の子会社ブラザーリビングサービスの北島佳樹・環境部課長代行は「周囲に高層マンションなどがあり、安全上、背の高い植物は植えられない。また農薬の散布もできない」と屋上菜園ならではの管理の難しさを話す。

それでも「最上階は空調の設定温度を1度上げることができるようになり、二酸化炭素の排出量を年間400㌔減らせる削減効果が出ている」という。

このほか、NTT都市開発のアーバンネット上名古屋ビル(西区上名古屋3丁目)の屋上でも、5月下旬に入居企業の従業員らがサツマイモとカボチャの苗を植えた。

名鉄百貨店本店(中村区名駅1丁目)の本館屋上にある屋上庭園「マイフェアガーデン」でもミニトマトやナスなどが無農薬で栽培されている。

なぜ、名古屋で屋上緑化ブームなのか。

中部経済に詳しい共立総合研究所の江口忍主任研究員は「東京と比べ、名古屋には中心部に大規模な緑地が少ないこと、そして名古屋駅前をのぞけば超高層ビルもなく、オフィス街でも日当たりが良い」と指摘する。
その上で「大阪や広島など、一定規模の都市なら、屋上緑化ブームとなる可能性が高い」と話している。

産経新聞より

投稿者 trim : 2010年08月15日 22:10