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2010年12月10日

仙台ミツバチプロジェクト

ミツバチをビルの屋上で飼育し、自然環境と共生する街作りを目指す「仙台ミツバチプロジェクト」が今月1日から仙台市中心部で始まった。

巣箱はまだ1カ所だが、将来的に多くの屋上でミツバチを飼い、ハチミツなどを商品化して商店街を活性化させようという狙いだ。

同プロジェクトの阿部高大理事長(75)は「街中で採取したハチミツでお菓子や飲み物が作れるようにしたい」と夢を膨らませる。

別グループの試みは生育環境が整わず断念しただけに、今後のミツバチの働きぶりが注目される。


巣箱を設置したのは、同市青葉区一番町のアーケード街に面した「一番町中央ビル」(6階建て)の屋上。

今月1日からニホンミツバチ8,000匹とセイヨウミツバチ1万匹の飼育を始めた。

巣箱近くの壁には、画像を識別するといわれるミツバチが、巣箱を見つける目印になるよう太陽と星の絵を描いた。

このビルのオーナーの阿部さんは2009年11月、「銀座ミツバチプロジェクト」を成功させた盛岡市の養蜂家、藤原誠太さんと出会い、ビル屋上でのミツバチ飼育に興味を持った。

今年4月には都内のビル屋上で飼育しているミツバチに触れてみた。
瞬く間に無数のミツバチで覆われた手の感触は「温かいのでびっくりした」。


ミツバチの魅力を知った阿部さんは妻と養蜂の本場であるイタリア・トリノまで足を運び、養蜂場を見学。
その後も仙台でのプロジェクト開始に向けて勉強を続けてきた。

環境に敏感なミツバチは「居心地が悪いと思うとすぐいなくなる」(阿部さん)。
巣箱は南向きの強い日差しを避け、風通しの良い所に設置。
さらに清潔な場所を好むため清掃も欠かせない。
夏になると、ミツバチが羽をぬらさない水飲み場の確保も重要だ。
手間はかかるが阿部さんは「手探りでやっていく楽しみがある」と笑顔を見せる。

一番町では今春、別のグループが屋上での養蜂に挑戦。
しかし、水飲み場がうまく確保できず一部のミツバチが逃げてしまったことなどから断念した。
阿部さんはそのグループの経験を無駄にしないように助言を得ながら取り組んでいる。

気温が11度以下になると、ミツバチは巣箱の中で身を寄せ合って寒さをしのぐ。
ハチミツの初採取はミツバチが活発に動き出す来春になる見通しだ。
阿部さんは「とにかく冬を越して、春になるまで見守ってあげたい」と優しい目で巣箱を見つめた。
【須藤唯哉】


毎日新聞より

投稿者 trim : 2010年12月10日 18:04