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2011年03月22日

省エネサポートシステム

NTTは、家庭やオフィスの消費電力を分析し、最適な省エネ行動をアドバイスする「省エネサポートシステム」を開発した。

省エネの大切さを認識しつつも「具体的に何をすればいいのか分からない」という人がターゲット。

家庭向けでは、居住地域内で省エネ効果をランク付けして世帯間で競わせるなどの工夫も盛り込んだ。

東日本大震災の影響で計画停電が実施され、節電の重要性が認識される中で、実用化が期待される。

家庭の消費電力を数値やグラフで画面に表示し、「見える化」した技術はすでにある。
ただ、これでは電気の使用量は分かっても、具体的に何をすれば省エネになるのか分からないのが課題だ。
省エネはエアコンなどの機器が自動制御するよりも、利用者が自ら節電に向けて行動するほうが効果が大きいとの調査結果もある。

NTTが開発した省エネサポートシステムは消費電力を単に見える化するだけでなく、通信ネットワークを通じて集めた計測データを分析し、利用者に最適なアドバイスを与え実際に省エネへの具体的な行動につなげてもらうのが柱だ。

家庭向けの場合、屋内の分電盤に電流計測器を接続。
無線で親機と通信し、インターネット経由で外部のサーバーに消費電力の計測データを1分ごとに送信、サーバーで分析する。
例えば、日中に電気を使い過ぎていると判定した場合は「暖房使用時はカーテンを併用し、熱が逃げるのを防ぎましょう」といったアドバイス。
電力消費が少ないはずの時間帯に無駄に使っているとみた場合は「就寝時にテレビを消すときは、リモコンでなくコンセントから電源をオフにしましょう」など。

さらに居住地域内で一定数の家庭を募り、省エネ効果をどれだけ高めたかをランキング表示する。
サポートシステムは利用者がアドバイスを読んで実際に行動に移さないと効果が見込めない仕組みだけに、一種の競争原理を取り入れ、「節電を長く続けていく動機付けを与える」(NTT環境エネルギー研究所の岩崎登主幹研究員)のが狙いだ。

オフィス向けでも、電流計測器を分電盤やパソコン、ファクスなどにケーブルで接続して親機と無線で通信し、ネット経由で計測データをサーバーに5分ごとに送信。
理想的な消費電力の変動と実際の動きを比較し、無駄な電気の使い方がないかを時間帯別にチェックし「お昼休みに照明が消灯されていません」などのアドバイスを与える。

NTTがグループ社員から協力者を募って実証実験したところ、導入前に比べ家庭で約10%、オフィスでは約6%の電力削減効果が確認されたという。
NTTでは、このシステムが2020年までに家庭と中小事業所の10%に普及した場合、合計で年233万㌧の二酸化炭素(CO2)削減につながるとしている。

資源エネルギー庁によると、1973年から2008年までのエネルギー消費は産業部門が0.9倍とほぼ横ばいなのに対し、家庭やオフィスなど民生部門は2.5倍と伸びる一方で、省エネの推進が急がれている。

ただ、実現には課題もある。
同研究所の井上洋思研究員は「システムの利用で課金できるか不透明。最初は楽しくても、数カ月やっているうちに飽きてしまう可能性もある」と話す。
光サービスなどを手がけるNTT東日本・西日本などと連携し、収益構造を構築することがポイントだ。
【森田晶宏】


フジサンケイ ビジネスアイより

投稿者 trim : 2011年03月22日 17:32