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2011年08月27日

土佐電気鉄道「ハートラム」

高知市の繁華街にある「はりまや橋交差点」を中心に十字の形に伸びる土佐電気鉄道の路線。

ラッピング車両などカラフルな路面電車がガタンゴトンと音をたてながら頻繁に行き交う。

同社は明治37(1904)年の運行開始で、路面電車としては日本一古い歴史を誇り、4路線で計25.3キロの路線距離も軌道線では日本一の長さだ。

路面電車の中でひときわ目立つのが淡い水色と白のツートンカラーの超低床車両(LRV)「ハートラム」。

角張った造りの車体はアルナ車両製で、全長17.5メートル、乗降口の高さは高齢者や身障者、妊婦の乗り降りに配慮して33センチと低くなっている。

ハートラムの導入は平成14年4月。
公共交通を通じてバリアフリーや環境問題をアピールしようと、国や高知県、高知市、南国市、伊野町の補助を受けて1編成を1億9千万で購入した。

ハートラムの導入を機に、同社は電停のかさ上げや拡幅、ベンチや上屋の設置などバリアフリーの取り組みを本格化させた。
5つの拠点駅で駐車場を整備し、郊外から来た人が車から路面電車に乗り換えて高知市中心部に通勤するよう誘導する「パーク・アンド・ライド」も効果をあげている。

ほぼ並行して始まったグリーンベルトの設置も先進的な取り組みとして注目される。
軌道敷内を芝で緑化することで、都市部の気温が上昇する「ヒートアイランド現象」を抑えるとともに、車などの軌道内横断の抑制を目的にしている。
軌道の緑化は現在、計570メートルに達しており、同社は今後も道路管理者と協議して延ばすことを計画している。

一方でメドが立たないのが、ハートラムの2編成目の導入だ。
今購入すれば2億5千万円はする車両価格がネックとなっている。
同社交通サービス部の山本康雄・電車グループ長は「行政の補助金を当てにするという発想にも限界がある。LRV導入には、民間鉄道事業者だけの問題でなく、公的社会資本の整備としての位置づけが必要」と強調する。

同社の路面電車の乗客数は、昨年は「土佐・龍馬であい博」効果で増えたものの、長期的には低減傾向にある。
交通弱者にやさしいLRVの導入促進には、交通政策の根本的な転換が求められている。

産経新聞より

投稿者 trim : 2011年08月27日 19:52