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2012年06月04日

ワインボトルを“変形”

ワインボトルをリサイクルしたテーブルウエア「funew」(ふにゅ)が注目を集めている。

木本硝子(東京都台東区)の商品で、ワインボトルの原型を生かしつつ、トレーやコップに変形したものだ。

6月のエコ月間に先駆けて5月14日から百貨店で店頭販売を始めたところ、当初予測した3倍の個数を売り上げた。


そのユニークな形状に店頭では「面白い!でも何に使うの?」という声が多いそう。
ところが、おつまみやオードブルをのせるお皿などを提案すると、特にレストラン経営者やシェフが高い関心を持ち、1人で6~10個をまとめて注文する人もいる。

funewにはボトルを平らに変形させたトレー(4サイズ)とボトルの下部の部分の形をそのまま生かしたコップ(3サイズ)がある。
原材料は自治体が回収したワインやシャンパンのボトル。
通常のリサイクルは約1,500度の温度でガラスをドロドロに溶かしてから新たに“成形”するのに対し、funewは約半分の温度で“変形”させる。

ボトル上部の細い注ぎ口部分を取っ手のように持ち上げた加工は、「すべてが平らだと机から持ち上げる時につかみにくい」という顧客の声を反映して改良したという。
また、カットした断面を研ぎ、火にあてて滑らかな飲み口にするコップの加工には、微妙な火加減を見極める熟練した職人技が生きている。

商品名のfunewは「fun」と「new」を合わせた造語で、ボトルを“ふにゅっ”と変形するイメージにもかけている。
同社の木本誠一氏は「エコに興味があっても何から始めていいか分からないという人が多い。国内のガラス産業が海外の安価な商品に押され気味で厳しい局面にあるなか、職人の技を生かし、面白い商品を地球にも優しい加工法で提案したいという思いから開発しました」と語る。
木本氏は台東区のモノづくりを活性化する地域イベント「台東モノマチ」の運営にも携わっており、東京スカイツリーのお膝元として東京下町の技術が脚光を浴びる今、職人の新たなビジネスチャンスにもつなげたいとしている。

一方でボトルの中身を丁寧に洗浄し、ラベルを綺麗に剥がす作業には手間がかかり、廃棄よりリサイクルの方が割高になってしまう現状がある。
投入されたタバコなどを取り除いたり、特に剥がしにくいチリ産ワインのラベルの除去にてこずったりと、リサイクルならではの苦労も多い。

「2月にあったホテルやレストラン関係者向けの展示会では、特に米国や欧州の一流ホテルチェーンが面白さよりもエコな観点を高く評価してくださり、好評でした。例えばオーガニックワインや食材にこだわるお店で、エコな観点からfunewを使っていただけたらうれしいですね」と木本氏は話す。
8月にはニューヨークや北京の展示会にも出品する予定だという。
6月からは同社のオンラインショップでも販売を開始。
新たなエコの形は国内外からますます注目を集めそうだ。

日経トレンディネットより

投稿者 trim : 2012年06月04日 17:00