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2012年09月08日

海底耕し生産アップ

岡山県内漁業の三本柱の一つとされる養殖ノリの生産増加策を探ろうと、県などは近く、児島湾口の海底を大型の鋤(すき)で耕す実験を始める。

県内では近年、栄養不足でノリが黒く仕上がらない「色落ち」が深刻化している。

県は海底を耕すことでノリの養殖棚付近の海水の栄養分を増やす効果を期待する。

県内の養殖ノリ生産額は昨年度約20億円で漁業生産額の4分の1を占める。
だが生産額は2001年度の6割まで落ち込み、廃業する養殖業者もいる。
ノリの生育に必要なチッ素など栄養分が足りず、生育不良のために色落ちが起きている。
原因は、少雨で川からの栄養分が減少▽大量発生したプランクトンが栄養分を横取りする――などが考えられている。

海底を耕す手法は「海底耕うん」と呼ばれ、兵庫県や香川県も実験している。
瀬戸内海には栄養分は豊富でも、生き物が生息できないヘドロがたまった海域も多い。
鋤で耕すと、ヘドロの栄養が海水に溶け出し、ノリに供給される可能性がある。
長期的には、ヘドロの下の砂地に酸素を供給することでプランクトンを食べる貝類が増え、ノリの生育環境が改善することも期待できるという。

実験は、海底耕うんを知った小串漁協(南区)が県に提案した。
県は高さ1.2メートル、底辺85センチの三角形で5本の突起がついた鉄製の鋤を製作。
9~10月に漁船で鋤を引いて水深5メートルの海底約3ヘクタールを耕す。
事業費は鋤の製作費など約22万円で、漁船による作業の費用は小串漁協が負担する。

児島湾は県内のノリ養殖業者の8割を占め、栄養不足が深刻化する1、2月に国との協議を経て、苫田ダムの緊急放流をしている。
だが効果は放流期間中に限られる。
同漁協の竹原槙男組合長(80)は「海底耕うんは私たちでも取り組める。自分たちの手で海を活性化させたい」と話している。
【井上元宏】

毎日新聞より

投稿者 trim : 2012年09月08日 17:30