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2012年09月16日

廃校利用さまざま

少子化に伴う学校統廃合で閉校となった小中学校の活用方法に注目が集まっている。

茨城県内では宿泊施設や大学キャンパスとして生まれ変わった校舎もあれば、映画やドラマのロケ地として多用されているケースもある。

■田舎体験の拠点

今月1日、金砂ふるさと体験交流施設「かなさ笑楽校(しょうがっこう)」(常陸太田市下宮河内町)としてオープンしたのは、4年前に閉校した市立金砂小学校だ。
そば打ちなどの体験や宿泊ができ、都市と農村の交流を図る施設として生まれ変わった。

明治38年創立の歴史を持つ学校だったが、平成20年3月、103年の歴史に幕を閉じた。
新たな有効活用が検討されていた。
周辺地域は「常陸秋そば」の栽培も盛んで、そば畑の貸し出しと管理を地元農家が請け負う「そばのオーナー制度」も確立されている。
種まきや収穫などで関東近県から泊まりがけで来る利用者向けに宿泊施設の充実も求められていた。

校舎は鉄筋3階建て。
建て替えたのは平成元年と比較的新しく、「耐震化済みの校舎を壊して更地にするのはもったいない」(大久保太一市長)と、改修費約7,000万円をかけての再利用となった。

「宿泊しながらの体験学習」をテーマに、地元の高齢者が講師となって農作業や里山での自然探索、そば打ちや豆腐作り、木工教室など各種体験コースを設定。
教室を改修した宿泊室は9室あり、最大で約50人が宿泊できる。
宿泊費は小中学生1泊1,000円、高校生以上2,000円。
食事は原則調理室での自炊。

■大学として再出発

今年4月、利根町に開校した日本ウェルネススポーツ大は、町内の旧利根中学校を第1キャンパス(同町布川)、旧布川小学校を第2キャンパス(同)として、校舎をリニューアルして活用している。

2校とも学校統廃合後も校名は残っているが、校舎は統合した学校に移転している。

学校法人タイケン学園(東京都板橋区)が運営。
スポーツプロモーション学部スポーツプロモーション学科の1学部1学科を設置し、スポーツイベントの企画立案、運営を担うコーディネーターを養成する。

8月には地元の利根町と協定を締結。
スポーツ、文化、福祉など幅広い分野で協力していくことに加え、災害時に大学施設の一部を一時避難所として開設することなどを決め、地域貢献にも力を入れる。


■戦前にタイムスリップ

大子町上岡の旧上岡小学校は年間10件前後のロケに利用されている。
明治22年建築の木造平屋校舎と戦前から戦後に増築された校舎が緑に囲まれたのどかな風景の中にたたずむ。

閉校して既に11年がたった。
閉校時は取り壊される予定だったが、「珍しい完全な木造校舎で、地域のシンボル」と存続を求めた地域住民が生涯学習などで活用、管理運営してきた。

最近ではNHK朝の連続テレビ小説「おひさま」で、主人公の母校で赴任先の学校として登場。
映画やテレビなどロケ地として活用されているが、戦前や戦中、終戦直後を舞台にしたドラマが多い。

「極力、閉校した時点の学校をそのまま残そうとした」と上岡小跡地保存の会事務局長の菊池輝雄さん(74)。
「(ロケは)維持費捻出に助かっている」と話す。

「おひさま」で注目され、校舎内を公開した昨年7~11月には約4万6,000人が訪れた。
現在も土日曜・祝日に校舎内を公開している。

産経新聞より

投稿者 trim : 2012年09月16日 14:45