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2013年02月03日

データセンターにもエコの波

NTT東日本は、最新の省エネ技術を結集した“エコデータセンター”を昨年7月に東京都文京区に開設した。

太陽光といった再生可能エネルギーを活用するとともに、ヒートアイランド対策や断熱性向上に効果がある壁面緑化の導入、空調の室外機に散水システムの導入などでデータセンターの電力削減効果は2~3割にのぼるという。

今後、駒込データセンター(駒込DC)の環境対策の効果を検証し、効果の高い省エネ設備を他のデータセンターにも導入していく計画だ。


「考えられる全ての技術を盛り込んだ」。
ビジネス&オフィス事業推進本部ソリューションエンジニアリング部サービスマネジメント&クラウド部門の窪田和樹部門長がこう胸を張る。
3,000平方メートルのサーバー室を構える駒込DCにはエコ技術が室内外の至るところに盛り込まれているからだ。

駒込DCの電力消費量を減らす原動力となったのは空調設備だ。
空調設備はデータセンターの運営で欠かせない重要設備とされる。
顧客から預かるデータを蓄積するサーバーは熱に弱く、正常に動作させるにはシビアな室内の温度管理が求められるからだ。
しかも365日、24時間態勢での管理となるため、空調設備の電力消費量は多く、データセンター内でサーバーに次ぐ電力を消費する設備といわれる。
このため、データセンターの運営事業者は、空調設備の電力消費をどう抑えるかに知恵を絞っている。

そこで同社が着目したのは室外機の省エネ化。
室内機と比べて消費電力の削減余地が大きかったためで、室外機内に温度センサーとスプリンクラーなどで構成される散水システムを導入した。
室外機内の温度が30度以上になると、スプリンクラーが作動。
5秒間ほど水を吹き、室外機の温度上昇を防ぐことで室外機のファンが作動する時間を減らし、消費電力の抑制につなげた。

室外機内の散水システムは、NTTグループ内で導入しているところもあるが、散水で使う水に水道水ではなく純水を使用する。
純水を作るための濾過(ろか)装置を設置するなどコストはかさむが、機器がさびずに済み、結果として故障リスクの低減につながるという。

空調設備のエコ対策はこれだけではない。
サーバーが設置された室内の温度上昇を防ぐため、冷気が吹き出るエリアに屋根や扉を覆うことで暖気の侵入を防ぐアイルキャッピングと呼ばれる仕組みも導入した。
こうした取り組みなどで空調設備の電力消費量を従来比約57%削減した。

空調設備のほかには、同社のデータセンターとして初めて壁面緑化を導入。
室内の照明器具は全てLED(発光ダイオード)に統一した。
さらに、屋上には1枚あたり180ワットの太陽光パネルを計32枚設置、最大5.76キロワットの発電を可能とした。

データセンターの運営事業社は、電力消費削減にしのぎを削る。
電力量が増えると運営コストが上昇し、競争力が低下する恐れがあるためだ。
しかも、国内では原発稼働停止に伴う電力料金の値上げが予想されており、データセンター内の消費電力の抑制が喫緊の課題でもある。
最新技術を盛り込んだ駒込DCだが、「まだ改善の余地はある」と窪田部門長は話す。
今後、北海道のデータセンターで導入している冷たい外気を活用した間接外気冷房機を導入する予定だ。
【松元洋平】

産経新聞より

投稿者 trim : 2013年02月03日 11:17