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2013年07月22日

「造粒再生砕石」技術

2011年3月の東日本大震災で被害を受けた被災地では、発生から2年数カ月が過ぎた今もゼネコン(総合建設業)各社が震災がれきの処理作業を急ピッチで進めている。

骨組みだけとなった防災庁舎の姿が津波の恐ろしさを“無言”で伝える宮城県南三陸町では、清水建設を中心とした共同事業体(JV)が2014年3月までの2年間の予定で、震災がれき約56万トンの処理に取り組んでいる。

こうした震災復旧作業を進める中で課題として浮上してきたのが、がれきの再利用の問題だ。


がれきの仕分け作業の中で、金属類やコンクリート・アスファルトのくずなどはリサイクルに回すことができる。
一方、津波の潮をかぶった不燃混合物や木くずを燃やした焼却灰や、砂利や粘土などの津波堆積(たいせき)物は再利用できず埋め立て処分となっていた。

陶器片やガラス、レンガといった不燃混合物は1日当たり30~40トン、可燃混合物の焼却処理で生じる焼却灰は40~50トン発生。
さらに津波堆積物などの洗浄工程から回収される残渣類が30~40トン出ており、膨大な量の震災がれきが“無駄”になっている状況だった。

「がれきになっても、これらは被災者の財産だ。できるだけ地元に還元していきたい」。
南三陸処理区JVの太田美喜夫所長のこうしたいちずな思いが新たな技術を生んだ。
再利用の道を開く「造粒再生砕石」技術が開発されたのだ。
清水建設は、建設系資材で造粒技術を持っていた地元の産業廃棄物処理業者、恵和興業(仙台市泉区)に声をかけ、両社共同で災害がれきから再生砕石を造り出す技術を開発して今春に特許を出願
4月から再生砕石の製造を本格的に始めた。

この新技術は、震災がれき(焼却灰、津波堆積物など)に水、セメントを混ぜ合わせて造るのが基本的な作業だ。
比率はがれき85%に対し、水・セメント類が15%。
製造過程では通常、柔らかい粘土質の素材になってしまうが、「いかに造粒できるか」(恵和興業)という企業秘密の技術を使い、餅を練り込むようなイメージで撹拌(かくはん)作業を行うことなどで、復旧・復興資材の使用に耐えられる固い資材に仕上げるという。

この技術を使えば、同町の災害がれきのリサイクル率を80%から99%へ引き上げることができるほか、がれき処理に伴う作業コストも「約4億円削減できる見通し」(太田所長)。
また、地盤のかさ上げに必要な土砂などの資材不足に悩む被災地の復旧・復興事業にも貢献できるという。

南三陸町で製造した再生砕石は「基本的に同町で使用してもらう」(同)考えで、計14万トンを製造し供給する予定だ。
造粒再生砕石は放射性物質などの検査を行い、使用に問題がないことを確認したうえで、南三陸町に引き渡す。

清水建設は、この再生砕石を道路や公園、防潮堤での地盤強度を確保する「アンコ材」(同社関係者)としての活用を南三陸町に提案。
これを受け同町は、プレハブ建ての「福幸(ふっこう)商店街」にある駐車場の地盤用の資材などに使い始めたという。

東北3県を中心とした被災地では、土地区画整理に伴うまちづくりなどの復興計画が本格化するのはこれからだ。
造粒再生砕石技術の活用が広がることで「復興へのまちづくりの礎となれば」と現場関係者は異口同音に語る。
【西川博明】

SankeiBizより

投稿者 trim : 2013年07月22日 11:15