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2014年04月16日

ふるさとは「ラジコ」を聴いて思うもの

ラジオという昔ながらのメディアで4月、聴取環境に大きな変化が生じた。

民放ラジオをインターネットで同時配信している「radiko.jp(ラジコ)」が、全国60局の放送について配信地域を越えて聴くことができる有料サービスを開始し、聴ける局数が飛躍的に増えたのだ。

全国で聴取可能になった豊かなローカル番組の世界を紹介しつつ、ラジオのネット活用の現状と課題を探る。


エリアフリー化を実現するのは、月額378円の「ラジコプレミアム」。
ラジコは端末の位置情報などから利用地域を判定し、対象エリアの放送に限って配信する仕組みを採用している(東京では現在13局)。
プレミアムではこの地域制限をなくした。

民放連加盟のラジオ100局のうち、ラジコには68局が参加しており、このうち60局が聴き放題となる。
権利処理の関係で一部タレントの出演番組など配信されない番組もあるが、全体の数%にとどまるという。

以前から要望が多かったエリアフリー化によって、故郷から離れて暮らす人が地元の番組を聴いたり、地方リスナーが都市部の番組を楽しんだりと、幅広い活用が期待される。
ラジコの青木貴博業務推進室長は「プロ野球ファンがひいき球団のおひざ元の番組を聴いたり、出張先で『いつもの番組』を聴いたりもできる」と提案する。

ラジオには他のメディアより地域密着の番組が多いという特色があるが、その分、自分が知らない土地の放送番組には不案内になりがちだ。
地方の民放ラジオに詳しい放送作家の石井彰さんは「ローカル番組にはそれぞれとがった個性があり、地元以外のリスナーでも楽しめるものは多い」として、おすすめ番組を教えてくれた。

CBCラジオ「つぼイノリオの聞けば聞くほど」や東海ラジオ「宮地佑紀生の聞いてみや~ち」は、ともに男女パーソナリティー同士のやり取りが魅力。
石井さんは「首都圏ラジオで女性はアシスタント的な役割を務めることが多いが、男性に遠慮をしないトークが新鮮で面白い」と語る。

KBS京都「早川一光のばんざい人間」は、90歳の医師が司会を務めるシニア向け番組。
観客の高齢者を即興芝居に参加させたり、オリジナルソング「ぼけない音頭」を披露したりと、ユニークな企画が多い。

石井さんが「九州ナンバーワンの音楽番組」と太鼓判を押すのがFM福岡「BUTCH(ブッチ) COUNTDOWN RADIO」だ。
動物から高齢者まで自在に声を操るBUTCHさんが、おもしろおかしいトークを交えながらヒット曲を紹介する。

こうした番組に共通するのは、個性の強い人気パーソナリティーの存在だ。
表中にはないが、CBCラジオは今月、14年ぶりに自局の若手アナウンサーが担当する深夜番組「ナガオカ×スクランブル」(火~金曜午後10時)の放送を始めた。

かつてはニッポン放送「オールナイトニッポン」をはじめ、局アナが深夜番組を担当して若者から支持を集めた番組は多かった。
ただ、近年の深夜番組はタレント中心。
地方局も首都圏の番組を放送しているケースが目立つ。

石井さんは「若いリスナーを獲得するには若いパーソナリティーの育成が必要。CBCラジオの挑戦はうれしい」と歓迎。
その上で「タレントもいいが、身近なお兄ちゃん、お姉ちゃんが話しかけてくれる『近さ』がラジオの根源的な魅力の一つ。地方局はエリアフリーで『中央』を意識するのではなく、ローカル性を追求してほしい」と注文する。

一方、「勧めたいがプレミアムに参加していない局の番組も多い」と石井さんは残念がる。
そもそも、なぜエリア制限は設けられ、ラジコや同プレミアムに未参加局があるのだろうか。
そこには、業界や各局の「複雑な事情」が存在している。
【三品貴志】

Radiko.jp(ラジコ)
民放ラジオの聴取機会拡大や難聴取地域解消を目的としたインターネット配信サービス。
現在、パソコンやスマートフォン、タブレット端末で利用できる。
平成22年、東京、大阪の民放13局と電通が中心となって法人を立ち上げ、本格運用を始めた。
平成23年3月の東日本大震災直後には、当時参加の全13局がエリアフリーとなり、被災地の7局については約1年間、全国から聴取可能とされた。
現在、エリア制限がある無料のラジコには全国68局が参加。
月平均で約1,300万人が利用している。

産経新聞より

投稿者 trim : 2014年04月16日 11:20