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2014年08月08日

養殖用の新技術

養殖用のカキの卵が従来の方法に比べて2倍付着する新型の「着卵材」の技術を活用した取り組みが浜名湖で広がってきた。

浜松市北区三ケ日町の猪鼻湖の実 験で実証された技術で、浜名湖のカキ漁師が開発者の小島昭群馬高専特命教授(70)と連携し、実用化に向け調査。

地元の子どもたちも手作りした着卵材で実験を始めた。


浜名湖かき養殖連合会の若手メンバーでつくる「かき研究会」(夏目喜好会長)は7月下旬、浜名湖の漁場2カ所に形状などが異なる5種類の着卵材を設置した。
定期的に調査を続けながら1、2年間かけて効果を見極める。
夏目会長は「実用化できる面があれば取り入れたい」と話す。

ホタテ貝を使った従来の養殖法では着卵を妨げるフジツボの付着を防ぐことが課題だった。
開発された着卵材はカキとフジツボの付着場所を分けることができるとされ、「ホタテの変わりになるか試してみたい」(夏目会長)との期待もある。

町の未来を考える総合学習に取り組む地元の三ケ日中2年生の21人は、素材の材質や形状を変えた着卵材を手作りし、県立三ケ日青年の家(同町)のマリーナに設置した。
着卵や成長の様子を調べ、材質や形状による効果の違いを分析して改良型の製作を目指す。
平沢亜祐奈さんは「カキが三ケ日の特産物になり活性化すればいい」と思い描く。

取り組みは県外でも展開されている。
小島教授によると、昆布の養殖が盛んな北海道釧路町で技術を応用した装置を海岸線の砂の中に埋めたところ、昆布の収穫量が増え品質も向上した。
東日本大震災で被災した岩手県山田町など各地のカキ業への活用に向けた研究も続けているという。

小島教授は「海のない(群馬)県の人間が研究できたのは三ケ日の方々の応援と協力のおかげ。三ケ日生まれの技術を日本中に発信したい」と意欲を見せる。

◇新型の着卵材◇
鉄や炭、腐葉土を入れた麻袋の上に縦45センチ、横35センチのポリエチレン製の網をかぶせた構造
鉄分や腐葉土が餌になる植物プランクトンを増殖してカキを呼び込み、表面に付着させる。
小島教授と環境リサイクル会社の石井商事(群馬県高崎市)が共同開発した。
浜松市北区三ケ日町の有志グループ「わらの会」(前原基二会長)が協力して昨年11月に猪鼻湖で行った調査で、9月に水中に設置した一つに約4,500個のカキの付着を確認した。

静岡新聞より

投稿者 trim : 2014年08月08日 13:44