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2008年05月16日

カキ殻再利用、一石三鳥狙い(七ケ宿源流米ネットワーク)

水源の町・七ケ宿町の中山間地で、農と環境の安全を考え、カキ殻や炭など自然の力を利用したユニークな米作りが始まった。

農業有志グループ「七ケ宿源流米ネットワーク」(梅津賢一代表ら6人)が取り組む水稲の新品種「やまのしずく」の試験栽培。
栽培田のうち地元の子供たちに農業体験してもらう学校田に14日、土壌改良効果があるとされるカキ殻粉末を散布し、29日には田植えを行う。
▽廃カキ殻再利用など環境に優しい循環型社会推進
▽新ブランド確立
▽食育への活用
――の“一石三鳥”を目指す。

カキ殻粉末を散布したのは、同町湯原の湯原小(本間勲校長)の学校田5㌃。
山形県境近くの標高約450㍍の山あいに位置する。

「やまのしずく」は、県古川農業試験場が、宮城県内の山間高冷地で広く栽培されている早稲種「こころまち」と「峰ひびき」を交配させて誕生させた新品種。
「東北177号」の名称で同ネットが昨年から試験栽培に着手。
植えてから穂が出るまでの期間が短い早稲種で、冷害に強く、収量も味も良いという。
県奨励品種となっており、公募を通じ、「山間地の清らかな水がはぐくんだおいしい米」をイメージして命名された。

14日は、同小の全校児童28人と湯原保育所の園児らが軍手と長靴姿で田に入り、松島町産カキの殻から作られた粉末肥料をまいた。

カキ殻は養殖カキの身を採取した後の水産廃棄物。
廃棄物としての処理には多額の費用がかかるうえ、陸上で放置すると悪臭が発生し、水産関係者の悩みとなっていた。
一方、石灰や窒素、リン酸、カリウムなどのミネラル分が多く含まれ土壌改良効果が高いことが着目され、全国的に、天然肥料としての活用が試行されている。
町などによると、畑地や牧草地でのカキ殻利用はあるが、水田では珍しいという。

同ネットではこのほか、水質浄化作用のある炭を用水路に置き、農業用水をきれいにする予定。
子供たちに食や環境について学んでもらうことにも一役買う。

同ネットはこれまで、同じ早稲種の「こころまち」を作っていたが、寒さにやや弱く、味や安定生産に課題があった。
今年は学校田を含む約2㌶でやまのしずくを試験栽培。
来年から約30㌶で全面的に切り替える予定だ。

毎日新聞より

投稿者 trim : 2008年05月16日 16:59